第10話
俺達は厨房から出て1階を見て回る。
「この部屋は、私とフィルが食事をするところよ」
俺たちが今いる部屋は、母さんと父さんが飯を食べるところだ。
2人で食べるには無駄にテーブルはでかいし、部屋も広いし、意味あるのかこれ?
「ここはフィルの仕事場よ」
次は父さんの仕事場だ。父さんの仕事場は大量の紙が置いてある机に、ソファー、本棚が置いてある。
机の上に置いてある紙が今にも倒れそうなんだが...
他にも色々な所を見て回った。
書庫に客室、休憩室に風呂など。
風呂はかなり広くて大浴場ほどまでは行かないが、銭湯の風呂ほどには広い。
さらにだ、この世界にはシャワーがある。
この世界は中世時代ほどだと思ったため、技術力は期待していなかったがシャワーがあったのだ。風呂があるだけでも十分だったが、シャワーがあるのはいい意味で期待を裏切られた。
1番興奮したのは様式のトイレがあったことだ。元日本人からしたらめちゃくちゃ嬉しい。
この世界は化学はあまり進んでないように見えるが、どうしてシャワーやトイレなどがあるのだろうか。
母さんに聞いてみると、このシャワーやトイレを作った人は勇者様らしい。
絶対地球から来たじゃん
シャワーもトイレも魔道具らしい。この世界は電気じゃなく、魔力をエネルギーとして使っている。
確かに、灯りはロウソクじゃなくてランプみたいなのを使っていたな。ランプから魔石みたいなのを取り出していたがあれが電池交換みたいな感じか。
ちなみに屋敷の中は廊下にも灯りがついているので夜でも結構明るい。
「屋敷の中は結構見て回ったわね、次はどこに行く?」
次に行きたいところは決まっている、運動場だ。
「うんどうじょうにいきたい」
「運動場?面白いものはないわよ」
「うんどうじょういきたい」
「うーん...そこまで言うんだった仕方ないわねぇ」
オッシャァァァ!!
おおー、結構広いな
俺は今運動場に来ている。今は誰もいないが兵士達はここでよく訓練をしている姿をみかける。
「アレス、あんまり面白くないでしょ?」
「ぜんぜん」
「そっ、そう?」
母さんは困惑した顔をしている。この運動場で訓練してた人達来ないな、今日は休みか?
「かあさん、いつもくんれんしているひとたちは?」
「今は休憩中だと思うけど...」
母さんと話している時、俺達が歩いてきた通路から足音が聞こえてきた。
「何か用事ですカ?、奥様」
なんだ?癖のあるイントネーションな人だなと思っていると。
通路からあの巨漢の男と戦っていたダークエルフが現れる。あの時は窓から見ていてよく顔が見えなかったが、近くで見てみるとめちゃくちゃ美人だな、キリッとしていてカッコイイ系の美人だ。
この世界で出会った女性は美形が多いな。この世界の顔面偏差値は高いのか?
「あぁ、リラ聞いてよ、アレスがね運動場に来たいって言うのよ。面白いものなにかない?」
このダークエルフはリラというらしい
「うーン、面白いかは分かりませんガ私達の訓練でも見ますカ?」
「みてみたい!!」
俺は即答する
おぉー!近くで訓練見れるのか!楽しみだな!
その後リラ以外の人達が来て訓練を始める。訓練をしているのは30人程だろうか。リラ以外の人達は、みんな同じような服と鎧を着ている。リラだけ私服だ。
リラが何かを呟くと鎧を着ている人達がリラを囲む。
突然兵士たちが一斉に動き出し、リラに攻撃を仕掛ける。兵士達の動きもかなり早いように感じる。
1番最初に動いた兵士がリラに攻撃をしようとした時、何をしたかは分からないがリラの手がぶれ兵士が吹き飛ばされた。
兵士たちは仲間が吹き飛ばされても動揺せずリラに攻撃を仕掛ける。
2人同時に攻撃をしようとしても、両手がぶれて吹き飛ばされ。後ろから攻撃しようとしても、足がぶれ、吹き飛ばされる。
30秒程で兵士達全員が倒された。
うーんマジで強いな
手と足がぶれるているってことは高速でなぐってんのか?そうだとしたら素手であの鎧を殴って吹き飛ばしてるのか、すごい力だな。
「かあさん、なにしたかみえた?」
「ええ!ちゃんと見えたわよ!」
すげぇな母さん見えるのかよ、いいドヤ顔してんじゃん
兵士たちも弱そうに見えなかったのにあんな無双すんのかよ、まだ本気には見えなかったしな。なんちゅー強さだ、この世界じゃ最強クラスじゃないか?
「りらってもしかしてめちゃくちゃつよい?」
「うーん...まぁまぁね、リラより強い人や魔物なんかは結構いるわよ」
あんなに無双してたのにまぁまぁかよ
この世界リラより強いやつゴロゴロいるのか
ちょっと燃えてきたなぁ...
リラと兵士たちの訓練は兵士達が立てなくなるまで続いた。俺の目の前には兵士たちが倒れ死屍累々な光景が広がっている
「どうでしたカ、アレス様」
その光景の中、息が全く切れていないリラがこちらに近づいてくる。
「とてもいいけいけんになったよ」
「それハよかったでス」
「りら、すででよろいをなぐってもだいじょうぶなのか?」
「...ッ!!見えていたのですカ?」
「うん、てがぶれてたからそうなのかなぁ、と」
「...すごいですネ、そこまで見えるなんテ」
この体のスペックは前世の体よりいいからな。訓練をしていた前世と比べ、動体視力はあまり変わらない。
俺がこの運動場に来た理由は兵士たちの訓練が見たい訳ではなく、戦い方を教えて貰うために来たのだ。
「りら、おれにたたかいかたをおしえてくれ」
そう言うと母さんが驚いたような顔をしてこちらを向く
「だっ、ダメよ!アレス!まだ1歳なのよ!ね、ねぇリラもそう思うでしょ?」
「そうですネ、ダメでス」
チッ...!快諾はしてくれないか
「そこをなんとか!」
リラの目を正面から真剣な目で見つめる
「うーン...1つ聞きたいのですガ、アレス様ハ何故強くなりたいのですカ?」
うん?変な質問だな、そんなもの決まっている。
「最強になりたいからだ」
最強は俺の夢であり野望であり理想だ。俺が最強になりたいと思った時から最強を目指すのは必然であり、どんなことがあろうとも止まらない、止める気もない。これは魂に刻まれた呪いみたいなものだ。
「...そうですカ...分かりましタ、あなたに戦い方を教えまス」
「えっ?ええっっ!?ちょっとリラぁ!ほんとに?えっ待ってほんとにするの?」
「はイ、しまス」
「ダメよー!私は許しません!」
「けれドこの様子じゃアレス様ハもう梃子でも動きませんヨ」
あぁ俺はここから絶対動かん!!今の俺の前では梃子の力なんてカスみたいなものだ!
「私もアレスが諦めるまで、梃子でも動きません!」
そう言い母さんも対抗してくる
ふーん、じゃあどっちが強いか確かめてくれる!!必殺技、抱きつき!!
抱きっっっ!!
「ふわぁぁぁっ!...、しっ、仕方ないわね...」
フッ...チョロくて助かったぜ。
「それでハ特訓をする前ニ、アレス様の種族を教えてくださイ」
「えっ?おれってひとぞくじゃないの?」
「えェ、恐らく違うと思いますヨ、アルゴン家ハ特殊な血筋なのデ、純粋な人族というわけではないと思いまス」
「けどなんでしゅぞくをきくひつようがあるんだ?」
「それはですネ、種族によって得手不得手があるからデ、種族を知らないト効率よく鍛えられないからでス」
えぇ?俺の体、前世の体と変わってるところないんだけどな。母さんなら知ってるかな?
「かあさんおれのしゅぞくなに?」
「ふひひっ...アレスぅ、ダメよぉ...」
母さんがトリップして、体をクネクネさせて恍惚とした表情をしている
俺は母さんを復活させるために頬をぺちぺち叩く、母さんの醜態を見たリラは呆れ顔だ。
「えっ!?なになに?どうしたの?」
「おれのしゅぞくってなに?」
「えっとねぇ、確か巨人族と人族のハーフだったはずよ」
「ふム、なら肉弾戦を鍛えましょウ。巨人族と人族のハーフは初めて見ますガ巨人族の血があるということハ、筋力が強化されやすいはずでス」
ふむ、俺の戦闘スタイルは近接戦か。
どんな特訓するんだろうな!
「とっくんってなにするんだ?たいりょくをつくるためにはしるのか?」
「いエ、走ると変な筋肉がついテ成長が阻害されるかもしれないでス。ましてや1歳ですのデ。軽めの特訓をしていきたいと思いまス」
おおっ!何するんだ!、ワクワクするなぁ!!
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