第9話
そして俺は、この屋敷を探索し始めた。
俺達の部屋は屋敷の最上階にあるため階段を降りなければならない。さすがに階段を降りる時は、母さんに抱えてもらう。
ちなみにこの屋敷は3階建てだ。
俺は母さんに抱えられ2階に降りる。
2階では私室や客室が多かった。客室が多かったためあまり見るものがない。こんなに客室が多いのには意味があるのか?
1階に降りると、いい匂いが漂ってきた。
「かあさん、このにおいなに?」
「厨房で作ってるご飯の匂いかしら?アレス、厨房でに行ってみる?」
離乳食を美味してくれって頼みたいからな、
。料理人達が俺の離乳食を作ってくれているかは知らないが。
「うん、いく」
俺と母さんはいい匂いのする方に進んでいく。匂いの元はこの扉の中から香って来ていた。扉の上には厨房と書いてある。母さんが扉を開け、部屋の中に入る。
厨房の中は料理を作っている真っ只中なのか、かなり慌ただしい。
「うーん、今は忙しそうね、また後できましょ」
母さんがそう言うと、部屋の奥から厳つい顔をしている大男が近ずいてきた。
「あれ?奥様どうかしたんですかい?何かご用事でもありましたか?」
「ごめんなさい、今忙しかったでしょ」
「大丈夫でさぁ、俺がやることは味見しか残ってないので今は暇ですね。...奥様の横にいるのは息子さんですかい?」
「そうよ!私の息子のアレスよ!」
「こんにちは、あれすですよろしく、けいごはにがてだからゆるしてくれ」
大男に挨拶をすると驚いたような顔をする。
「ほぉー、何歳なんですかい?」
「いっさいだ」
「かぁーっ!すごいですねアレス様!うちの息子がそこまで喋れるようになったのは3歳からでしたよ!」
3歳からでも結構早い方じゃないか?この世界の子供は成長が早いのかもしれないな。
「奥様どうして厨房に来たんですかい?」
「アレスがこの屋敷を探索したいって言ったからその付き添いよ」
「ほー、屋敷の中を探索してるんですかい。あれ?アレス様は1歳でしたよね?もうこんな歩けるんですかい!」
大男は「これが神童ってやつですかい」と呟きながら俺の事を見ている。
そういやこの男の名前なんだ?
「なまえをおしえてくれ」
「あぁ、すいやせん、俺の名前はミルトン言うんですわ、俺も敬語は苦手なんで、許してくれると助かりますわ」
「あぁ、よろしくみるとん」
ミルトンと喋っていると厨房にいた料理人から声が掛かる。
「料理長、味見頼みます!」
「あぁ、すいやせん仕事に戻りやす。」
ミルトンって料理長だったんだ。
「わかった、しごとがんばってくれ」
「ありがとうございやすアレス様」
ミルトンと別れ探索に戻ろうとする。
あっそうだ
「ミルトン」
「ん?どうしたんですかい?」
「りにゅうしょくもっとおいしくしてくれ。」
「ッ...ハハッ!分かりやした!最高の離乳食を作ってみやす!」
うん、別に最高じゃなくてもいいから、最低でも味はつけて欲しい。
俺の名前はミルトン、このガルガンチュア王国の王都、ガルガンにあるアルゴン伯爵家本邸の料理長をしている。
元々は冒険者だったが大怪我を負ってな、その怪我が原因で武器が振るえなくなっちまったんだ。そのため俺は冒険者を辞めざるを得なかった。金はかなり稼いでいたので生活には困らなかったが、冒険者を辞めると燃え尽き症候群ってのかな?何事にもやる気が起きなくてな...ちょっとやばいと感じた俺は趣味だった料理を本格的に始めたんだ。
元冒険者だったこともあり、体力に自信があった俺は色んな料理人に頼み込み毎日毎日、修行したんだ。修行しまくったおかげで、一角の料理人にはなれたかもしれねぇな。俺の腕が認められて貴族様のお抱え料理人になれた時は、妻と一緒になって喜んだな。
まぁ、そんなことがあって今やアルゴン伯爵家の料理長ってわけだ。
俺がアルゴン家で働いてから5年ほど経った時だろうか、アルゴン家に子供が生まれたらしい。
噂で聞く限りアルゴン家はなかなか特殊な血筋らしい。アルゴン家の血は様々な種族と交配し、混じりあったため、子供の種族は産まれてくるまでわかないんだと。
アルゴン家は旅をする貴族と言われており、成人すると、最低でも5年は家に帰るのを許されないらしい。アルゴン家は武官寄りなので、個人の強さが重要になる。アルゴン家の家訓は「強い子には旅させろ」らしい。
そのためアルゴン家は旅先で他種族の番を作ることが多く、様々な血が混じりあったんだとさ。
アルゴン家のご子息様が産まれて1年ほど経った時、奥様が厨房を尋ねてきた。
俺なにかしたか?
そう疑問を抱えながら奥様に話しかける。
「あれ?奥様どうかしたんですかい?何かご用事でもありましたか?」
「ごめんなさい、今忙しかったでしょ」
「大丈夫でさぁ、俺がやることは味見しか残ってないので今は暇ですね。...奥様の横にいるのは息子さんですかい?」
「そうよ!私の息子のアレスよ!」
ほう、なかなか男らしい顔してるじゃないか
これは将来、女性達にモテモテになるな。
「こんにちは、あれすですよろしく、けいごはにがてだからゆるしてくれ」
っ...!びっくりした!
まだ産まれて1年ほどだろ?こんなに喋れるもんなのか?
もしかしたら産まれて1年程しか経っていないてのは嘘だったのかもしんねぇな。
「ほぉー、何歳なんですかい?」
「いっさいです」
「かぁーっ!すごいですねアレス様!うちの息子がそこまで喋れるようになったのは3歳からでしたよ!」
すげぇな!1歳でここまで喋れるなんて、これが天才ってやつかも知んねぇな...
うちの5歳の息子と比べて大人に見える。
「奥様どうして厨房に来たんですかい?」
「アレスがこの屋敷を探索したいって言ったからその付き添いよ」
「ほー、屋敷の中を探索してるんですかい。あれ?アレス様は1歳でしたよね?もうこんな歩けるんですかい!」
そういえばアレス様は1歳のハズ。
それなのに重心を崩さずちゃんと歩けていた、...すげぇな、さっきから俺のスキルの【直感】が反応するはずだ。...アレス様は大物になるな。
「なまえをおしえてくれ」
「あぁ、すいやせん、俺の名前はミルトン言うんですわ、俺も敬語は苦手なんで、許してくれると助かりますわ」
「あぁ、よろしくみるとん」
アレス様と喋って見た感じ、貴族みたいな堅苦しい感じがしないな。
「料理長、味見頼みます!」
「あぁ、すいやせん仕事に戻りやす。」
あぁ、そろそろ仕事に戻るか。アレス様と喋るのは、同僚と喋る感じがして肩肘はらなくていい。
「ミルトン」
「ん?どうしたんですかい?」
「りにゅうしょくもっとおいしくしてくれ。」
「ッ...ハハッ!分かりやした!最高の離乳食を作ってみやす!」
ハハッ!!、こりゃおもしれぇ!!離乳食を食べてる本人から不味いって言われたのは俺が初めてじゃねぇか?
...こりゃすげぇ人が生まれたんじゃねぇか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます