第7話

あれから本を読み進め、ひと月が経った。

あともう少しで1歳になる。


この間わかったことだが、この世界の1年は地球の1年とあまり変わらない。

ひと月は28日で、月は12ヶ月ある、1年で336日だ。


年月日は地球と同じだが、唯一曜日の名称が違う。


月曜日は月の日

火曜日は火の日

水曜日は水の日

木曜日は木の日

金曜日は金の日

土曜日は土の日

日曜日は太陽の日


となっている。



今更だが俺の誕生日は4月21日だ。






うーん...暇だ...



この屋敷の書庫ちっさいから、すぐ全部の本読み切ってしまった。



...立ち上がる練習でもしてみるか。



ベビーベッドの柵を持って立ち上がろうとする。


うん...あっさり立てた



柵をから手を離して歩けるか試す。



うーん...歩けたよ



赤ちゃんはこれが普通なのか?こんな頭重いのにすごいな。



柵から手を離し、扉の方向に歩いていく。

だが扉に近づくと気づいた、ドアノブ高いな、届かん。




部屋の外に出るのは諦めて、赤ちゃんの体でもできることを試していくか。




腹筋、頭が重くてできない

腕立て、頭が重くてできない

背筋、頭が重くできない

スクワット、赤ちゃんに出来るわけない


結論 何も出来ない



よし!!やることなくなった!!寝るか!!




おはよう、赤ちゃんは何時でも寝れるからいいね、今は睡眠が唯一の暇潰しだ。


起きて微睡んでいたらイザベラが入ってくる。


「アレス様、お食事の時間です。」

「ありがとういざべら。」



食事は離乳食だからあんまり美味しくないし、テンション上がらないんだよなぁ...



異世界転生のテンプレである、赤ちゃん時代から魔力トレーニングみたいなことも出来ない。


賢者ローレンの教えには、スキルを獲得すると同時に魔力が解放されると書いてあった。つまり5歳まで魔力が体に宿らないってことだ。



俺からしたら最悪の仕様だ。

このままじゃ暇に殺されるぅ...



いくら最強と言っても暇の前には無力なのか...?


ここで俺は負けてしまうのか...?



否っ!! 断じて!否っ!!!



俺は諦めんっ! 諦めんぞぉぉっ!!!!




それからふた月が経った。



ゴリラ、ラッコ、コアラ、ラップ、プリン。


あぁ!!負けちゃったぁ!!


俺は今絶賛1人尻取り中だ、しりとりたのしいね



あー現実逃避やめよ、暇すぎて頭おかしなるでぇ!!


あまりに暇でイザベラに俺と一緒にいてくれって言ってみたが仕事があるので断られた。


すごい笑顔で体くねくねさせてたから快諾してもらえるものだと思ったんだけどなぁ


本も何十回読んだし、スキル大全集に書いてあるスキルの詳細全部覚えちゃったよ。


あと魔物図鑑みたいなのもあってなかなか面白かった。


図鑑に書いてある魔物全て覚えたよ。生息場所とか弱点とか、魔石の位置とか。


魔石っていうのは。魔物の心臓みたいなものだ。

魔石はでかければでかいほど値段が高い。

魔石は魔道具に使われる。


魔道具は地球でいう機械みたいなものだ、まぁ機械ぽくない魔道具もあるが。それの動力源に魔石が使われる。魔石が大きいほど、性能が高い魔道具が作れるってわけだ。



最近父さんが、新しい家族が増えるよ、みたいなこと言ってたからそろそろできるのかな妹か弟。


母さんは3ヶ月前からさっぱりと合わなくなったからなぁ。


俺の立ち姿は家族全員に見せたいから、全員揃うまで立たないようにしている。全員揃った時に見せるつもりだ。



ん?部屋の外から何かを運んでいる音が聞こえる。


父さんと母さん、イザベラが部屋の中に入ってくる。


母さんとイザベラは手に何かを抱えているように見える。俺が手に抱えた物に疑問の視線を向けると俺の視線に気づき、父さんが答える。


「この子達はアレスの妹だよ。」



父さんがそう言い父さんと母さんイザベラがベビーベッドに近づく。



妹達の距離が近づき2人の顔が見える。



その時、俺に衝撃が走った。



俺の妹達があまりにも可愛すぎる。


天使ってこの子達のことを言うんだと思う

クリクリの目に、可愛らしい顔つき、可愛いは正義だったよ。


俺はその時立ちあがっていた。3人に隠していたことも忘れてしまう程の衝撃があったのだ。



妹達に手を伸ばす、そうすると2人が俺の手を掴む。



ンギャァァッッ!! かわいすんぎぃだろぉ!!


キレたわ、キレました。可愛すぎてキレました。犯罪ですよこれ!!


アレス刑法115条可愛すぎ罪で逮捕します。


ピーポー!!ピーポー!!






あぁ!どうしたんだ俺!?

妹達が可愛すぎてトリップしてたな



てゆーかさっきから妹達が俺のこと、ガン見してるんだけど、俺の顔になにかついてんのか。



ん?母さんたちも俺をガン見してるな。なんでだ?


「アッ、アレスが立ったわぁー!!」



そう母さんが叫ぶ。



あっ、俺立ってんじゃん。俺の立ち姿を見せつけるのにもっといいタイミングがあったかもしれないが、この妹達の前には俺の優越感などカス以下でしかない。



母さんたちは、俺が立ったことに衝撃を受け固まっている。妹達は、おれのことをガン見しながら俺の手を掴んで離さない。



うーんどうしよこの状況




しばらくすると、3人が再起動した。



「さんにんともだいじょうぶ?」

「あぁ...すまない情報量が多すぎて混乱していたよ。要件を忘れるところだった。アレス、この子達の名前を一緒に考え「わかった!」う...うん...」



よし!なんて名前がいいだろうか?可愛い名前にしたいな...


天使みたいだから天使の名前を文字った名前にしてみるか...


...天使の名前わかんねぇわ


ミカエルとガブリエルしかわからん



ちょっと名前もじってミカとリエルにしよう。自分でも思うがいい名前だ、俺ってもしかして名付けの天才か?



「くろかみのこはミカできんぱつのこは、リエル」

「おお!いい名前じゃないか!」

「さすがアレスよ!いい名前じゃない!」

「さすがアレス様です」



おぉー大絶賛だ


「最初にこんないい名前が出るなんてね。この子達もアレスに懐いているからこの名前に決定でいいかい?」

「いいわよ!!」

「私もいいと思います」

「よし、それじゃあ決定だ」





俺の妹達の名前が決定した後、ミカとリエルを連れて部屋を出て行こうとするが、最後までミカとリエルは俺の手を掴んだままで離そうとしなかった。




俺の妹達可愛すぎだろ!

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