第2話
「オギャー!! オギャー!!」
なんだこの声? やけに近いところから聞こえる。
「オギャー!!オギャーー!!」
うるさすぎる!!
抗議の声をあげようとするとさらに近くから聞こえてくる声が大きくなる。
なぜかは知らないが声が出ない。
何故かと考えていると、体が持ち上がっていく。
あれ!?俺の体ってそんなちいさかったけ?
そんなことを考えていると、話しの内容が理解出来ないが、優しそうな声が聞こえてくる。
あれっ?鳴き声がやんだ?
体が動かしにくいが、目は開きそうな気がする。まずは周囲の状況を判断するために、目を開ける。
目の前には俺が人生で見たこともないような女性が居る。今はその女性の腕の中にいるようだ。ワインレッドの髪に、透き通るような白い肌、可愛いというよりかっこいいというべき顔をしている。日本のモデルやアイドルと比べてはるかに美しい女性だ。
しかし、普通の人間と違うところがある、
爬虫類のような目に、今抱えられている腕に、トカゲの鱗のようなものがある。
コスプレか?なんで今コスプレイヤーに持ち上げられているんだ?俺の頭の中は今、ハテナ埋め尽くされている。
なんだか急に眠くなってきた、さっき寝てたはずなのに、疑問を頭に浮かべながら睡魔に身を委ねた。
俺は赤ちゃんになってる。つまり転生したと?
意味がわからん、久しぶりだここまで冷静さを見失ったのは。前世のFPSゲーでも咆哮していたが冷静さは見失っていなかった。対戦ゲーは冷静にならないと勝てなかったので。緊張などのプレイに邪魔な感情は抑えるようにしている。ここまで俺の感情を揺さぶるとは、、まだまだ未熟か俺は....
俺が寝ている間に運ばれてきた部屋を見渡してみる。目が少しぼやけているが、生活には余り支障は無さそうだ。
俺は今ベビーベッドっに寝かされており、右手側にはこの部屋の出入口、左手側には窓がある。足側には棚のようなものがあり、何も入っていない。頭側は首が動かしにくいせいで見えない。
右手側から足音が聞こえる。振り向くとおれが産まれて来た時に、俺を抱えていた綺麗な女性が部屋に入ってくる。
喋っているように見えるが、俺は何を言っているか分からん。
するとその女性は、上半身の服を脱ぎ出した。
えっ?、、、あぁ...食事か急に脱ぎだしてびっくりしたわ。
目を覚ましてからずっと腹が減っていような感覚がある。それは前世で感じていた、飢餓感より大きいものだ。
赤ちゃんってこんな腹が減るもんなんだなぁ..
と考えながら、綺麗な女性の乳から母乳を吸う。多分この女性は俺の母親なのだろう。
なら俺は多分イケメンだな、容姿は美しければ美しければいいからな。
母親から母乳をもらい、食っちゃ寝食っちゃ寝して1週間程だった頃だろうか、部屋の中にこれまたイケメンの男が入ってきた。髪は金色で瞳は翠色。髪の間から耳が見えたが、尖っているように見える。これはエルフか?
この男も何やらはなしかけながら俺を持ち上げようとする。しかし持ち上げ方は下手くそで安定性がなく危ない。もう少しで落ちそうになると、男の後ろから手が伸びて俺を支える。
あぶねぇー落ちそうだった。
男はオロオロして俺を見ている。母親っぽい人は少し怒っていいるように見える。オロオロしている男は俺の持ち上げ方を教えて貰っているように見えた。
そして、覚悟を決めたかのように、俺を持ち上げる。まぁ、さっきよりかは安定感はあるかな。
俺を抱えていると、どんどん笑顔になっていく、俺の母親っぽい人と同じだ、安心したようにベッド上に下ろすと、俺から離れ、2人で喋っている。まぁ俺は言葉理解出来ないからいいか、寝よ。
なんだか前世より食欲と睡眠欲が激しい気がする。赤ちゃんだからか?
俺がこの世界に来てから、恐らく半年たった。この世界にも四季があるらしく。俺が生まれてきたのは、日本で言う春ぐらいだと思う。この半年で俺は母親っぽい人とイケメン男の言葉が分かるようになった。2人の話を聞いているうちにわかった事だが、やはり2人は俺の親だったらしい。
この2人が喋っているうちに2人の言葉が分かるようになった。2人の会話からわかったことだが俺の名前はアレスらしい。めちゃくちゃかっこいい名前だったので、わかった時は興奮した。アレスとかもう主人公とか、英雄につける名前じゃん。そりゃ興奮するよ。
今日も今日とて、赤ちゃん生活をしていたら、俺の親、2人が入ってきた。
「アレスーー!!、今日もかわぁいいわねーー!!」
部屋に入った瞬間、叫ぶのは俺の母親。サラと言う名前らしい。最近なんだか俺を溺愛しすぎているように感じるが。何故なんだろうか。
「アレスっ!!アレスっ!!」
母さんが顔を近ずける、鼻息荒すぎだろ。目もめっちゃ血走ってるじゃん。
「こらっ、アレスが怖がってるじゃないか」
サラを窘めているのは、俺の父親のフィルだ。
母さんが俺を持ち上げて長い舌で俺の顔を舐めまくる。
「いいじゃない、アレスはこんなに可愛いんだから!!」
可愛いからと言って顔がふやけるまで舐めるやつはいない。父さんが顔中舐められる俺を母さんのうでの中から、優しく奪いとっていく。 マジで母さん、父さんが舐めるの辞めさせないと、一生舐め続けるんだよな。
「むうーー」
「可愛い声を出してもダメ」
ありがとう父さん、これで今日の顔はふやけなくて助かるよ。てか、むうーって綺麗な顔の母さんがするとギャップで可愛いな。
「お腹の子供達のために休んでいなさい」
「むうー...わかった...」
そう、俺の母さんは、半年前に俺を産んだのにもう妊娠している。出産って体力使うって聞いていたが、こんなに連続して子供を妊娠するとは、母さんの体は丈夫だな。てか、むうーって母さんがするとギャップで(以下略
あと半年で俺の弟か妹がうまれる、前世は一人っ子だったから、楽しみだ。
それにしても、暇だ。さすがに半年食っちゃ寝していると飽きる。この部屋から出てみたいという気持ちが大きい。外に出たいと伝えられるか?...半年たったらさすがに声は出るか。
「かぁた」
俺が声を出すと、喋っていた2人がこちらを向く。2人とも俺のことを穴が空くほど見ている。
「アっ、アレス、いっ、今なんてっ?」
ん?聞こえなかったのか?
「かぁた!」
さっきより大きな声を出して伝える。
「あっ...」
えっ??? めちゃくちゃ泣いてるじゃん!!目から滝みたいに涙が出てる!!!
そんな感動するようなことか!?
「かっ、かぁた..」
ちょっと引きながらもう一度声を出す。
「...」
えっ?倒れた? うぇ?
「サラァァァっっ!!」
父さんが叫びながら母さんを抱きかかえながら、部屋から出ていった。
えっ?何事?
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