第2回放送(後半)

「あらためましてこんばんは。限界地下アイドル天使サフィエルのオールナイト天国。毎週水曜日のこの時間はわたくしサフィにゃんことサフィエルがこの番組をお届けしま~す」


「はい、でわでわ、お次はですね、当ラジオ番組一の大大大人気企画となっております、『サフィにゃんになら何を言っても大丈夫!』です。

 このコーナーはですね、わたくしサフィにゃんことサフィエルにですね、日頃の不満やストレスをぶつけてもらってリスナーの皆さんにすっきりしてもらおうという、とてもハートフルな企画となっておりま~す。パチパチパチ~」


「では早速、頂いたメールを読ませていただきます。

 え~、こちらは… あっ、匿名希望さんからですね。読みま~す。

 鼻ニンニクさんこんばんは。お前ってさ鼻がニンニクで生成されてるわけじゃん?

普段はどうやって過ごしてるの? いっつも自分のくっせえニンニクのにおいで鼻腔びこう内が充満してるわけでしょ? 俺だったら耐えられないなって思うんだけど、これって俺の心配し過ぎかな? 別に大して気にもならないんだけど、少しだけ気になるから、お前の鼻ニンニク対策を教えて。感想待ってま~す」


「………」


「………」


「………」


「えっと…、まず鼻ニンニクっていうはわたしのことを言ってるのかな…。そうだよね。じゃないと文脈が繋がらないから…」


「う~ん… 人の容姿をいじるっていうのは今の時代にそぐわないと思うし、例えで言ってるわけだから、真面目に答えるのもバカバカしいけど、わたしの鼻が実際のニンニクでできてるわけじゃないのでにおいはありません。はい、次いきます」


「ハァ…。(ため息)」


「続いては、ラジオネーム、世界の中心で暴言を叫ぶさんからです。

 サフィエルさん、こんばんは。はい、こんばんは。サフィエルさんはファンの方達に色々と媚びを売っているように見えてとても痛々しいです。打算的に動いてるようにしか見えないし、前回のラジオでもそうでしたけど綺麗事を並べてはいますが結局は自分のために利用したいだけなんですよね?

 そんな子供だましは通用しないと僕は思います。見ていて聴いていて目障りだし耳障りなので1秒でも早くメディアから消えることを今日も神様に祈ってから出社してきました」


「………」


「………」


「………」


「スー… ハー…(大きく深呼吸する)」


「………」


「あのさぁ、人を利用するだけしか考えてないとか、わたしが媚びてる? どっちが人として不誠実なの? 何その、この企画を都合のいいように利用するだけして手玉に取ってやろうみたいな、人間としてどうなの?」


「少なくともわたしの前で卑怯だとか何とか言わないでね? 勝手に人の純粋な善意をそう解釈して歪めて利用してきてるのそっちだからね!」


「自分達は散々酷いことしといて、わたしには一個も不誠実なことさせないみたいなルール何なん? 状況を把握してないとでも思ってるわけ? っていうか、いつからあなたの方が立場が上になったわけ?」


「そんでわたしに人気が集まったら、それはわたしの実力じゃなくて媚び売って人気が集まっただけだってレッテル貼って、むしろお前の欲しいRTやいいねをやった俺達に感謝しろなんでしょ? すごいじゃん。超前向き。こりゃ世界平和まであと一歩だね。世界中の紛争無くなりそう。奇天烈きてれつ人間すぎて一度直接会うようなことがあったら絶対に握手してね」


「そんなこと言ってファンに媚び売って自分のSNSでいいね貰おうとしてるんだろ? って言うんでしょ? そうだよ、エコひいきしてほしいんだよ。だってわたし貢献してるじゃん。新しいエンターテイメントも生んでるじゃん。

 どうせガチで批判的なこと言ったら言ったで怒るくせにさ、怒んないでよ、そんなのズルいじゃん、どっちもダメなんてさぁ」


「いるよね、いますよね、こういう人。もう何でもメール送れるからって何も考えないで送っちゃう人。ホントマジでこういうの勘弁してよぉ~。

 スタッフさんもお願いしますよ、こういうのあらかじめ目を通してくれないとぉ」


「わたし、何を言われても大丈夫なんかじゃないです。ムカつくし腹立つし、こんなの毎週相手にしてたらこっちが鬱になっちゃう!

 有名人やタレントへのリプライを自分の汚い感情のはけ口に使ったり、自分の劣等感への受け皿か何かだと勘違いしてる人と関わりたくないんです!

 この企画はその人達をさらに勘違いさせたりするのを助長してます! このお仕事が決まって、いい企画が思い付かなかったり、始まる前にきっぱりお断りしなかったわたしの落ち度でもありますけど、今後この企画はやりません! 納得いかないようでしたらこの番組も降板します! 違約金もお支払いいたします!」


[SE]エンディングテーマ曲


「ハァ… ハァ… ハァ…(肩で息をする)」


「はい、え~っと、お時間が来てしまったようです。本当は皆さんと楽しい時間をね、過ごせたらなと思いやっていたのですが、わたしの精神的な未熟さやプロ意識の無さで台無しにしてしまったことを、ここにお詫び申し上げます」


「来週、この番組が残っているのか、わたしが降板してまた別の誰かが名前を変えて続投するのかわかりません。

 それでは今週もよい1日を。限界地下アイドル天使サフィエルのオールナイト天国でした。バイバーイ」



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