第23話 疑似学校

幽霊についての説明を聞いた帰り道、ショートしそうな頭で俺は考えた。


「てか、クラスメイト探しじゃねえじゃんこれ」

やっと考えついた。ずっと引っかかってたんだよな。


「あーそれなら月華が来てくれるわよ、まだ19歳だし大丈夫じゃない?」

「若いな、めっちゃ大人に感じた。陽斗さんは?」

「家に残るって、二人で暮らしてるからどっちかは居ないとね」

「あそこお兄ちゃん達以外に誰か来るの?」

「お祓いしてるわよ」


あーだから御札貼ってたのか。まあもう一生行かないけどな。山道長すぎだしな、つか道じゃねえしアレ。


「あと一人くらい欲しいな」

「そうね。私はもう居ないから語部お願いするわ」

「んー一人来れそうな奴は居るが……呼びたくねえな」

「どんな子?」

「アイドルの奴だ」

「お兄ちゃんの人脈変わってるね、友達はいないくせに」

「え、むかつく」

「その子でいいんじゃない?」


しかし、性格に難アリというかなんというか。まあ話だけは伝えておくか。


◇◆◇◆◇


疑似学校一日目が始まった。


俺とレイはもちろん、西条も如月もその妹も月華さんもそして、あいつも来てくれた。


特別教室のドアが開くと佐々木先生が明らかな私服で出てきた。


黒のタイトスカートに緩い白のシャツを着た先生は教卓の前に立つと言った。


「えー今日からレイちゃんのための疑似学校を始めます。目的はレイちゃんの友達作りと成仏……だよな語部?」


「あ、はい。昨日の夜知ったんですけどレイは何が心残りなのか覚えてないそうで成仏出来ないでいるんです。だからこれを機に思い出せたらなと」


俺は昨日の夜、レイがお風呂から上がってきた時に尋ねた。今まで自然と避けてきたことだ。そして、レイからであった初めの方から思っていたことでもある。


なぜ死になぜ幽霊になったのか──と。


分からない、これがレイの答えだった。


なんとなく分かっていた。レイは生きてた時の記憶が曖昧だって。記憶喪失だって。


だからこの疑似学校で生前のことを少しでも思い出し心残りなく成仏してくれたら嬉しいと心から思った。


「ってことなんで色んなことをしようと思います。それじゃまず自己紹介から。好きな事は入れるようにしましょう。じゃあ語部から順番に」


「はい。語部柊です、好きな事は水泳です」


「あの時言ってた水タイプってホントだったのね」


西条が耳打ちで伝えてくる。隣の席は西条になったのだ。


「じゃあどんどん行こうか」



「西条視です、好きな事は読書です。特にミステリーが好き」


俺の後ろのレイ、如月、月華さんの自己紹介を終え隣の席の西条も今終えた。あと二人だな。


「如月瑠菜です、好きな事はお姉ちゃんをおちょくる事です」

「ちょっと、やめてよ。私学校ではしっかり者なの」


仲良さそうな姉妹だな。

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その日、俺はオフモードのお化けに会いました 騙手 @yutacore

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