第19話 クラスメイト探しは時間がかかる2

如月紗夜、可愛いと言うよりは綺麗が似合う女の子。夏休み前に髪を切った様で肩につくかつかないかくらいのボブだ。だいぶ印象が変わるもんだな。輪郭が隠れて一層小顔に見える。勉強もスポーツもできる万能型で俺とは真逆だ。


そんな子が今ファミレスで頭を抱えている。

「いや、理解できないんだけど」

「だよな。俺も理解出来てないし」

「お兄ちゃんは理解しててよ」

「え、なに?結局兄妹なの?二人は」

「違うぞ」「違うよ」

「じゃあなんでお兄ちゃん呼びなの?」

「年上だから?」

「それでその子幽霊なのよね?みんなが言うには」

「アタシが言うんだ、間違いない。実験もしたんだぜ」

「はぁ、佐々木先生が言うならまあ。実験の内容は聞きたくないですけど。レイちゃん震えてるし」

確かに悲惨だった。あんなことあってよかったのか。ゴキブリが出たんだ。個室で。

「じ、実験の話はやめてちょうだい」

「なんか西条さんも震えてるし。てか語部も震えてるし!何したんですか佐々木先生!?」

「ご、ごきぶり」

「「ぎゃーー!!」」

「……あ、もういいやこいつら」

「悪かったって如月、もうふざけない」

「もういいよ、相性いいねふたり」

俺と西条が?まさかな。

「それでクラスメイトになってくれるか?」

「まあ、いいけど。用事がある時は休むよ」

「無断欠席か?」

「ふざけてるよね」

「すいませんでした」


とりあえず一人確保したがクラスメイトが俺と西条と如月の3人だと流石に田舎の学校が過ぎる。


「あと同年代の子も欲しいよな」

「確かにそうね」

「私も西条さんも語部も年上だし、私の妹が同じくらいか」

凄くいい情報を如月がさらっと漏らしたな。

「じゃあ如月の妹含めて四人だな。もう少し欲張りたいところだが」

「そうね、あと二三人欲しいわね」

「え、私の意見は?勝手に決められていいのこれ?」

「お前ら如月の意見聞いてないだろ」

さすが先生と如月がつぶやく。

「そうでしたね。如月大丈夫か?」

「絶対ダメよ。緩菜かんなだけは呼ばないで」

「これで如月の許可も取れたことだ、良かったな語部西条」

え、先生がそれするのと如月がつぶやく。


「五人決まったな。もうこれは相澤呼ぶしかなくないか?」

「私あの人やだ。女の子にCHANELプレゼントしてそうだもん」

「別にそれはいいだろ」

「アタシも嫌だな。実はいつもこっそり成績下げてたんだ」

「最低すぎるだろ、教師は生徒の味方じゃ無いんすか?」

なんで俺だけじゃなくこんなにも大人数に嫌われてるんだ。別に悪いやつじゃないはずなんだが……。


「あとは私の兄と従兄弟達はどうかしら?」

うん、やっぱ西条しか勝たんよな。

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