第11話 俺の決意2
結局二人で行動することになった俺たちは校門を出て正面の方向を探すことにした。手がかりなんか掴んでないしレイは携帯も持ってないはずだから連絡手段もない。ただの直感。
佐々木先生が呼んでくれた教頭先生を含めてたった四人で探すのは無謀な気がするが仕方がない。警察を呼ぶにしてもその中に霊感がある人がいるかもしれない。それは色々厄介だ。だから今日レイにあっても妹だと言った先生方は大丈夫だ。
「はぁ、なあ、どれくらい進んだ?」
「は?まだ1キロも進んでないわよ」
ココ最近全く運動してなかったな、そういえば。もう普通に限界なんだが。しかし、俺より小柄な女の子が余裕そうな手前ここは男としてカッコつけるべきだ。
◆
「はあ、ホントなんなのあんた。あの子を探したいんじゃないの?」
地面に転がる俺にそう声をかけた西条の声は心做しかいつもより数段と冷たかった。そしていつもの無表情からは想像できないほど呆れた顔をしていた。
───────ちょっと可愛い。
「そもそもあんなにカッコつけて『西条、きついだろ?おぶってやるよ』って言っておいてこんなに盛大にコケるって」
え、なんで全部言ったん?
「え、なんで今それ言ったん?」
「ダサすぎたからよ」
「……ちょっともう無理……」
「え……そんな泣かなくてもいいじゃない」
なんだかんだ優しい西条は俺の背中をさすってくれる。男子高生が泣き女子高生に慰めてもらっているこの光景は傍から見たらなかなかに異様だが幸いなことに見てるのは子連れ一人だけだった。
「ねぇねぇお母さん、あの男の子泣いてる」
「そうね」
「僕あの子に飴ちゃんあげてくる」
「やめておきなさい。あれはきっと修羅場だわ」
どこか勘違いされているようだが。多分俺が浮気されたとかそんなんだと思ってるな。あの哀れみの目は。
「おう、お前ら何してんだ」
「……佐々木先生?」
佐々木先生がヘルメットを外さなかったらわからなかったな。
──ってか単車かよ!
真っ赤な単車にハイヒールで跨いだ佐々木先生はかっこいい、たしかにかっこいいが男にモテない理由はこれじゃねえか?
「なんすかそれ」
「私のバイクだが?」
「いつもそれで来てるんすか?」
「時間が無い時はな、バイクは150キロまでは許されてっから」
「いや、嘘つくなよ」
「とりあえず探すぞ」
タバコをくわえヘルメットを被り直す。
「ありがたいんですけど、男にモテない理由それっすね。男勝りすぎますね」
「ああ、そうだ。ちょうどそろそろ誰か轢き殺したかったんだよな。なんか言ったか?」
「好きです佐々木先生」
満足そうな佐々木先生とつま先まで残さず震える俺を見て呆れた西条が声を上げる。
「恒例の夫婦漫才は後でいいので、とりあえず探しますよ」
どうやら俺と佐々木先生の会話は恒例だったらしい。今まで関わりのなかった西条が言うあたり多分クラスでも言われてるんだろう。
「ああ、そうだな。んじゃアタシ右行くわ」
「わかりました。また後でご──」
合流しましょう、と言いたかったんだがもう居なかった。あれはほんとに150キロ出してるかもしれない。警察呼ぼうかな。
「あの人、よく教師できてるわよね」
「まあ教え方は上手いからな」
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