第10話 俺の決意1

「なあ!レイはどこ行ったんだよ!見てただろ西条!」

レイが消えた。幽霊だから当たり前だろ、いつもなら、あるいはその幽霊がレイじゃなかったらそう言ってただろう。でも俺はその幽霊と2日共に暮らした。たった2日だ。それでも妹みたいなあいつと暮らすのは楽しかった。だからこそ大きく取り乱して西条に当たった。さっきからずっとダサいな、俺。


西条は指を指した。言葉ではなく指でフェンスを指した。それだけで充分分かった。今すぐ探しに出たいが、一人で探すのじゃダメだ。きっと見つからない。レイはきっとそう簡単に見つけさせてくれない。

「西条、頼む!一緒に探してくれ」

「正気?あなたあの子に殺されるかもしれないのよ。そしたらあの子も悲しむわ。だからあの子は決意したのよ、ここには残らないって」

「話し合ってねえだろ!なら俺の想いはどうなんだ!無視か?俺だって決意なら固まった。たとえ俺が死んでも一緒に居たい」

「自分勝手ね」

「そうだな。だから話し合いたいんだ」

「……」

「頼むよ。まだ解決しようともしてないじゃないか」

「はあ、わかったわ」


「佐々木先生!一緒にレイを探してくれ」

「おい、年上だぞ。言葉遣いどうなってんだ」

「お願いです」

いつもふざけた感じの佐々木先生だが、良い人だ。底なしに生徒を大切にする人だ。きっと俺の熱意が伝わったんだろう。

「どうかしたのか?探すってなんだ」

レイが幽霊という事は言わない。とりあえず俺の妹が失踪したと、そう伝えた。

「アタシ今日ハイヒールだからゆっくりな」

そう言いながらもいつもより早く階段を降りてくれる佐々木先生はやっぱり良い人だ。


あまり群れない性格ゆえ他に頼める人がいない。副代表の如月はレイの見た目を知らないからダメだ。こんなことなら色んなやつに話しかけときゃ良かったわ。


※ぼっちは自分の意思でどうにかなるものではありません。成るべくして成るのです。


「早く行くわよ、語部くん」

なんだかんだ一番早くに準備してくれた西条が下駄箱で待っている。先に探しててくれてもいいだろ。

「とりあえず俺はこっち探すから西条はそっち頼んでいいか?」

「……え?一緒に行くわよ?」

「……へ?なんで?」

「いや、なんかその、気まずいじゃない」

ダメだこいつ。危機感がねえ。

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