第7話 ロリコン扱いの後にこの仕打ちは泣いてもおかしくない
放課後生徒に早く帰らせるためか少し薄暗くなった教室、残った生徒は俺と数人そしてレイだ。ちょうど帰ろうと荷物をバックに詰めていた頃、俺らは声をかけられた。
「ちょっといいかしら」
小さな声。小さいのにどこまでも聞こえるような冷たい声。その声はミステリアスな少女、西条視から発せされていた。
「え、はい。なんですか」
1日ずっとロリコンいじりをされていた俺は久々の普通の声がけに反射で敬語が出る。
「準備が出来たら屋上に来てくれるかしら。時間は取らないわ。ここじゃ話しにくくて」
西条と話すのは初めてだが、いつも孤立しているような理由は見当たらない。普通の子だし近くで見ると顔も整ってる。まあ、異様な空気は感じるけど。どこか怯えてるような。
そんなことより俺屋上に呼ばれたよな?
しかも話しにくいことって言ってたな?
しっかり西条が教室を出るのを見届けてから、
「……告白かよ」
「ニヤニヤしないでよお兄ちゃん」
「いや、だって確実に告白じゃん。これはさすがに着いてこないでくれよ」
「え〜私も見たいよ」
「これはマジだ。人生初の告白されるんだぞ。チェリーボーイがプレイボーイになる可能性があるんだぞ」
「展開早すぎでしょ。てゆうか女の子に直球な下ネタやめてよ」
しかしまあ、西条とは関わりがゼロなのでいきなり付き合うのも少し失礼な気もする。そうだな、何回かデートした後に次は俺から告白するか。なんて最高なシチュエーションなんだ、むふふ。
「またニヤニヤしてる。早くしないと嫌われるよ」
「そうだな。行ってくるわ」
屋上のドアノブに手を掛けると微かに手が震えていることに気づいた。
「……ふっ、これが武者震いか」
「いや、違うと思うわよ」
「っ……」
「ごめんなさい。そんなに綺麗に腰を抜かすとは思わなくて」
確実に笑みを含んだ声で謝罪されている。こんなにダサいことがあっていいのだろうか。一人テンションが上がり小声で言った独り言にツッコまれそれにビビって腰を抜かす。帰り道に100万円を拾ってもいいくらいの仕打ちだ。
それに案の定レイも着いて来てて一部始終をバッチリ見られた。今もほら、影で笑い転げてる。
「え、ちょっと泣くほどじゃないでしょ」
「恥ずかしくてな」
しかもちょっと泣いた。
5分くらいだろうか、時間が経った後レイも合流し会話の初めに困っている俺たちを動かしたのは西条だった。
「そろそろ話してもいいかしら?」
「ああ、そうだったな。話ってなんだ?」
「その子、死んでるでしょ」
相変わらず冷たい何かに怯えたような声で。
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