第6話 こいつはロリコンだ

現在の時刻6時30分。会議に間に合わせるためには遅くとも45分には出たいところだ。

そんな中俺たちは何をしてるかと言うとレイを学校に連れて行くか行かないかで揉めてる。


「なんで連れて行ってくれないの!」

「いや、見えるじゃん!お化けなのに」

「見えてもいいじゃん!あと幽霊ね?」

「そしたら俺どう見られると思う?」

「え、彼女連れ?」

「そうだよ、うちの学校の生徒じゃない少女を当たり前のように教室に連れてきてる彼女連れに見られるんだよ。てかなんだよその幽霊へのこだわり」

「幽霊の方がマジっぽいじゃん」

「そんだけかよ!てか前半部分のアンサーどうした」

これで1時間だ。俺は学年代表で今日は会議がある。もう一度言うこんなんで1時間だ。

「頼むレイ、今日だけは勘弁してくれ」

「やだよ!この呪われた家に一人なんて」

「幽霊が言うなよ。な、なんか説得力増すだろ」



「それで語部くん、その女の子は?」

「私は柊のかれs」

「妹です」

「そ、そうか。それで彼女さんは何故ここに?」

「妹です」

俺は教頭先生の質問に答える。命を懸けて。

「そ、そうかすまない。妹さんは何故ここに?」

「どうしてもついて行きたいと聞かないのでやむを得ず」

「はあ、困ったな。だいぶお兄さんのことが好きなようだね」

「そうなんですよ。レイは俺のことが好きなようで」

と、言ってしまったのが命取りだった。

「お兄ちゃんだって昨日私のおっぱい揉んできたくせに」



ここはうちのクラス3年C組だ。そして今この教室では大学受験生の多いクラスとは思えない言葉が飛び交っている。

「あ、学年を代表する変態ロリコンの語部さんじゃないですか。僕の妹には手出さないでくださいね」

「……」

終わった。完全に終わった。さっきのレイの一言で俺の人生が終わった。今日から俺が幽霊になるしかない。

「こらみんなやめなさい」

みんなを注意した如月紗夜きさらぎさやは副代表でポニーテールの大人びた雰囲気を持つ女の子だ。

如月、ほんとにありがとう、俺を助けてくれて。少し涙目になった。

「あんまり揶揄うとほんとに手出されるわよ」

訂正。こいつは史上最悪の女でいつも馬みたいな髪の毛を振り回しているんだ。

「語部も妹ちゃんに手出すのやめなね」

わざわざ声のトーンを上げて言うあたりこいつは本物だと思う。帰ったらレイに呪ってもらおう。



地獄の午前授業を終えた俺は教室の隅にいた。今日一日で一気にロリコンという看板が定着してしまった俺に話しかけられることは無かった、さすがに泣く。7月に入った今日から夏休み前で午前授業だけなのが唯一の救いだ。


「お兄ちゃんごめんって」

「いや、マジ無理もう無理」

教室に残ってるのは俺とレイと数人の物静かな女子たち。その中でも異彩を放っているミステリアスな女子が居る。西条視さいじょうみえる。彼女が誰かと戯れる所は見た事がないし全く気がしていた。

だがやけに今日は視線を感じるな。しかしすぐに理由の見当はつく。ロリコンだろどうせ。

「お兄ちゃんまだ怒ってるの?」

「怒るとかはもう超えた。俺は次の次元へ」

「車のCMみたい」

結構最近のCM知ってんだなこいつ。許さないけど。


「ちょっといいかしら」

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