第5話 ならば人間的生活を2
「あぁ〜疲れた〜」
帰り道ずっとおぶられていたレイがつぶやく。
「お前はずっとおぶられてたろ」
「お兄ちゃんのバランス悪いから私が舵取ってたんだよ」
「何言ってんだよ……」
疲れたと言い続けるレイを横目に俺はキッチンに立ち料理を進めている。約半年一人暮らしということでそこそこ料理の腕は上がっている。家事全般もだ。
「三ツ星顔負けの作っといて〜」
「はいよ。ボコボコにした一ツ星くらいのレベルは作れる」
俺は頑張ってるのにレイは寝た。居候の身とは思えない図太い神経に敬意を評するよレイ。
あ、ちょっと失敗した。こっちレイのでいいや。
「お兄ちゃんこのオムライスジャリジャリするよお?」
「ああ、失敗したんだそっち」
「普通女の子には成功した方出さない?」
「図太い居候の女の子には出さないかもな」
「私怒った。もうほんとに呪うわ」
「レイ様。こちらデザートのプリンなんですけどね、特別にわたくしめのと合わせてお食べ下さい」
一昨日から取っておいたプリンがふたつ消えた
お風呂に入った俺たちは少しパーティーゲームで遊んだ後、布団についていた。
「なあ、なんでおんなじ布団なんだ?」
「だってだって、さっきのゲーム怖かったじゃん」
声が震えている。さっきパーティーゲームって言ったがあれは嘘だ。レイに嘘ついてホラーゲームをやらせてやった。プリンの分だ。
「だから一緒に寝て?」
「そんな可愛い声で言っても俺は動じないぞ?」
俺は今日レイと一緒に寝ることを決意した。しかしここは俺の威厳のため誤魔化さしてもらう。
「でも覚悟決まった目してるじゃん」
バレた。
「……寝たか?」
「……」
「……俺もだ」
「……何が?」
「起きてんじゃねえか」
「あ。もうなに?」
「機嫌悪くなるな。あとあんまりくっつくな」
「怖いんだもん」
俺はレイに背を向けているのだがレイが俺の腰をがっちりと掴んで話さない。この状況はまずい。今、なんかアイアンマンとかが天井突き破って入ってきたりしたら終わる。そもそもそんな事起きたら天井の下敷きになって終わる。つまり何が言いたいかって背中に柔らかいのが当たってるのだ。ありがとう、じゃなくてこんな状況じゃ寝れないだろ男諸君。
「もう少し離れられないか?」
「無理。これ以上離れたら連れてかれる」
「連れてかれるとか言うな。怖いだろ」
「どっか行っちゃう」
「それはお前の意思じゃねえか」
つか、幽霊が幽霊苦手っておかしいだろ。同族嫌悪的なことか?
「じゃあ俺とレイの間に枕置かないか?」
「その枕に幽霊慿いてたら私心臓食べられちゃう」
「もしそうだったら俺の頭はもう食い漁られてる」
「あ、そっか。じゃあいいよ」
こんな会話で夜中の2時を回った。明日は学校。それに学年代表の会議で早出だ。
あ、俺学年代表。すげっしょ。
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