青年期5

私は配属後頑張った。

頑張って仕事を覚える努力をしたがいまいち覚えきれなかった。


そんなある日、体調を崩して休んでから仕事に行こうとする度に冷や汗と動悸が止まらない状態になった。


そこからはもう酷いものだった。

職場に行く気力はなく、ただただ嘘をついて仕事を休む。

ある日罪悪感に耐え兼ねて上司に相談した結果、精神科に掛かれと言われた。

その時に知ったが精神科って行って診断受けてはい終わりではないんだな。

殆どの精神科で初診を受けるなら一ヶ月は掛かると言われてしまった。

諦めて心療内科に行ってカウンセリングを受けた結果は適応障害だったな。


冷や汗は止まらず、春先も良いとこなのに汗をかいてたどたどしい喋りで生まれてからのことを聞いてもらった。

血液も採られたが、精神的な病気なのに血液がどう関係するのだろうか?結局聞けずじまいだ。


上司に診断結果を渡して本社に行き、休職することになった。

しかし入社してから一年未満だったので一ヶ月で治らなければサヨナラバイバイ。


私はもう疲れてしまった。

心を壊して母親のようになるなら、

仕事を辞めてしまった方がいい。

空白期間からの短期離職のコンボだ。


次の仕事はさぞかし酷い仕事になるだろうよ。


私は上司に言われた言葉を忘れない。

職場に来れば治るでしょ?

大袈裟なんじゃない? 

薬のんで仕事すれば良いじゃん?

あなたくらい図太ければそうなのかも知れないですね。あなたのお子さんが精神的におかしくなっても言えたら本物ですよ。


思い返してみれば悪くない職場だったな、とは思う。

先輩は全員優しいし入社したてなのにボーナスも出た。

ぶっちゃけたところ仕事内容に一ミリも興味がなかったことと、勤務地が地味に遠いところだということ。

さらに付け加えるなら、人との関わりが一ミリもないことに辟易としていたのだろう。

SESで長くやってたが所詮ひとつの現場に長くいたから、孤独がこんなにも辛いと知らなかったんだな。

所謂陰キャタイプだと思っていたが案外会話がないと辛いタイプらしい。


辞めたあとは毎日前の職場の夢を見ていた。

ああ、戻りてえな。

最近あまり好かれていないことを知ったが、それでも居心地は良かったし、なにより分かりきった仕事がどれだけ幸せなのか自分で理解していなかった。

今からでも戻れるなら戻りたいくらいだ。

しょうもないプライドと、女々しい感情にどうにもならない自身の将来を考えるのが嫌で睡眠薬を酒で流しながら寝るのが日課になった。


こんなときにも考えることは昔と同じだ。

ああ、蛙の子は蛙だ、やはりまともな生き方は難しいな。とどこか他人事のように考えながらただただひたすら眠りを貪る生活に戻った。


内心、まともに生きてる奴のほうがすくねえよと思いながら。

こんな考えが出る時点で私も親父と同類なんだろう。

笑えるよ、涙が出るくらいに。

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