閑話 数少ない友人の話

あまり書いてはいないが、私も友人自体は結構いた。

過去形になっている辺りで察しが着くとは思うが、どうにも私の人間関係はリセットが掛かってしまうことが多い。


これに関しては私が悪い。

基本的に自分から遊びに誘うことはまず無いし、誘いたいが趣味が絶妙に友人とやるには噛み合わない。

釣りはする友人は一人だけだし、ゲームも好きではあるが…fpsの類いを苦手としているのであまり着いていけないんだ、酔ってしまう。

あとはカラオケ位だが、友人は好きな奴が少なくて良い顔をされない。


こうなるとお手上げだ、誘う理由がほぼない。

どこかに遊びに行こうにも体力が全くないので肉体を使う遊戯はしたくない。

最も友人達もそのタイプは多いが。


話が逸れる逸れる、頭の病気かも知れないな。

その少数派の友人の話だ。

出会ったのは高校の時だ、友人の友人という極めて気まずい関係からよくもまあサシで遊びに行く関係になったものだ。


私と似通った性格でことなかれ主義かつ自我がないタイプ、指示がないと動けない。

しかし唯一ここだけは違う箇所があり、それはアウトドア派と言うことだ。

サイクリングやネズミの国が好きで語らせると一時間くらいは語ってくれる。

今だから言うが彼には非常に申し訳ない気持ちでいっぱいだ、私は彼の人生を歪めてしまったかもしれない。


私が就職した際に高校から専門学校まで同じだった彼(最も科目は違うが)は放送系の仕事についた。

そこからちまちまと一年に一回くらいは遊んでいたのだがどうにも顔色も悪いし、目の下の隈が酷かった。

何か悩みでもあるのだろうか?と思い立ち聞いてみると仕事の休みがほぼなく、給料も非常に低く辞めようか悩んでいるとの事だった。

この場だから言うが、いくら新卒でも週一休めるか怪しい仕事で手取りで15万程度は酷すぎる。

私は彼の相談を聞いてすぐに辞めるように促した。

その時は就職2年目とかだったろうか?第二新卒とかいう言葉も出始めた頃だったし、まだ20代前半も良いところだ。

そんな仕事をしなくてももっと良い仕事は腐るほどある筈だと熱弁した。

彼もそれに希望を見出だしたのか、その年の瀬には退職していた。


その彼は今フリーターをしている。

今でも罪悪感を感じている、出会う度に毎回奢ってしまうのはこの罪悪感を少しでも消したいが為だ。

彼の身を案じたつもりが、余計なお世話をしてしまった。

彼は私の事を憎んでいるんだろうか?そうしてくれるとありがたい。

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