青年期2
そして私にも就職活動をする時が来た。
私はこの頃はかなり高い志を持っていた、蛙の子は蛙かも知れないが最低限正社員として胸張って生きれる仕事ができる人生を送れるだろうと。
最も入社を決めた理由はそこしか内定がなかったからというしょうもなさだったが。
それからはそこの会社で働いた、中小IT企業で仕事内容は監視オペレーター。
正しく人生流されて生きてきた人間の末路と言った感じだ。しかし、居心地は良かった。
皆が皆という訳ではないがほぼ全員似たような経歴の持ち主ばかりだ。ニート上がり、人生を趣味に降った人、ただ生きていければいい人、前職で嫌な目にあった人。
この内容を読んでいる諸兄にも似たような経歴の持ち主がいるかもしれないし、または立派な生活をしている人もいるかもしれないがこれだけは言いたい。ぬるま湯だが、優しさに浸かれるよい場所だった。
先輩は会社すら違うのに優しく教えてくれた。
他の人が話しやすいように皆の前で話を振ってくれた。新人歓迎会もしてくれた。
そんな環境で甘えていた私は致命的なミスを犯した。
監視オペレーターとして一番致命的なミス。
オペレーションミスだ。
しかも相手に損害がでるクラス。その後は最悪だった、優しかった人達からは腫れ物扱いされ日に日に心が軋むような感覚を覚えた。後輩からは嫌な目で見られ、上長には怒鳴られる。
報告書作成のために何時間残っていたか記憶にすら残っていない。一ヶ月半は休みがなかったと記憶しているが勤務表に書くことすら許されなかった。
針の筵だ。それでもなんとか更に一年ほど頑張った。しかしまたミスをした。その段階で私は心が完全に折れたんだと思う。
気がついたら上長に退職したいとメールしていた。
その上長からは何時辞める予定?と聞かれ素直に答えた。少しは引き留められるか?と考えていた自身の女々しさに苦笑しつつ、キリがよいタイミングで退職をすることになった。
その後はもう無敵だ、大した仕事も振られないしミスをした前科があるから作業にすら呼ばれない。ただそこにいるだけの人間完成だ。
そして退職の日を迎えた。
このタイミングで言うが私はなんだかんだ4年はいた。そうなると後輩がいるわけだ、そいつはトシとしておこうかな。
トシからお疲れ様でした。とエナジードリンクをもらった。
確かに私はよく飲んでいたがそれは辛い夜勤を耐えるためのものであって好きではないんだと思いつつ、ふと涙が出てきた。私にも慕ってくれる後輩は居たんだな、と。
その後は、涙を見られないように必死に耐えながら早足で薄暗い道を帰った。
しかし、私の胸中は少しばかり複雑だった。
ああ、やはりまともな生き方は難しいのだろうな、と分かってしまった。
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