第5話 神への第一歩

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一応真面目に計算はしてみたのですが、ちょいちょいご都合主義混ざってます。そんなに上手く測れてたまるかい!という気持ちはよく分かりますが、こらえてください。



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秀が『オペレーションWizardry:いしのなかにいる』訓練を始めて五年の月日が経過していた。もはや作戦名など当に忘れてしまっている秀であったが、ナニカに取り憑かれたかのように研究を進め、神懸り的に数々の実験を成功させた。元々遊び以外は勉強も運動も飽きない程度にしかやったことがない秀自身からしても、訓練にここまでのめり込んだことは信じられないことであった。


もしかしたら本当に悪霊が取り憑いていたのかもしれん、と気味悪がってみせたが、そのお陰で固有技能を更に使い熟せるようになったので収支はプラスだろうとなんの対策も講じる気はない秀であった。



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話は変わるが、五年間で秀が得た知見を纏めると、次のようになる。


❶物体に対象物を転移させた場合、物体の表面積及び体積に変化は見られず、重量のみ変化する。


❷物体に対象物を転移させた場合、物体と対象物が同化し、同化した体積分以外の対象物分の物体は消失する。その際に物体は、同化した部分のみ対象物の性質の一部を引き継ぐ。引き継がせる性質は意識次第で選択可能。


❸物体の性質は対象物と込めた意識で変化させることが可能であるが、対象物そのものの性質を変化させることは不可能。



以上。



(ここさえ知っていてもらえれば充分なので、最後まで読んでいただかなくても結構です。)


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(続きも読んでいただけるようで誠にありがとうございます。作者試行錯誤努力を是非最後までご覧いただければ幸いです。)



有り余る財を用いて秀がこれまで行った実験(訓練)一覧。


①焼小石をハンバーグの中に転移させる。→成功。ハンバーグを中から焼くことができた。中心に小石発見。


②焼小石をステーキ肉の中に転移させる。→成功。ステーキを中までウェルダンで焼き上げた。中心に小石発見。小石がステーキ肉に貼り付いていることを発見。


③7cm角のサイコロステーキに1cm角の鉄の立方体を転移させる。→成功。重量を計った所、137.2gから144.7gに増量していた。また縦横を5mmずつ切り刻んでいくとどちらも中心に向かうにつれて段々と硬くなっており、端から2.5cm切った次からは包丁では歯が立たなくなった。高さ方向も同様の結果であった。


④上記(実験番号③)と同様の実験について、肉固定・鉄の立方体から銅の立方体へ置換、鉄固定・ステーキ肉から鶏肉に置換した対照実験を行う。→成功。肉の表面積及び体積は転移後に変化は見られず、重量のみが変化していることを突き止めた。また転移後の重量は、(元々の肉の重量+金属の重量-金属の体積分の肉の重量)という簡易な計算式で求められることが分かった。またいずれのケースにおいても、肉は2.5cmの段階で切れなくなった。


⑤7cm角のサイコロステーキに1cm角の鉄の立方体を転移させる。→成功。やすりで削った結果、一辺1.73cmの角が取れ丸みを帯びた立方体が出来上がった。色はメタリックピンクで、サシが入っていた。硬度はそのまま鉄が少し軟らかくなった程度であり、ほぼ鉄であった。臭いは生肉で金属臭はなし。噛み切れはしなかったが、キチンと牛肉の味があった。肉のエキスと混じり、微かに金属味があった。


⑥上記(実験番号⑤)と同様の実験について、肉固定・鉄の立方体から銅の立方体へ置換した対照実験を行う。→成功。基本的に結果は⑤と同じであったが、硬度と味の部分に変化があった。硬度は鉄から銅へ、味は金属味が強くなり肉の味が薄れた。


⑦肉を正確に測って切った時に出た欠片にハーブミックスを転移させる。→部分的に成功。皿に出した幾許かのハーブソルトのみが転移した。正確なg数及び体積は不明。肉の断面には緑色のハーブが多数埋め込まれていた。ハーブの香りはあったが、焼いて食べると肉の味しかしなかった。


⑧小匙1(3cm^3)のハーブソルトを5cm^3の肉に埋め込む。→成功。肉の断面のみならず表面にまでハーブが現れた。ハーブソルトの強い香りあり、味なし。


⑨上記(実験番号⑧)と同様の実験について、香り抑えめで味ありにする条件の選定を行うために基準となる肉を用意する。→失敗。既に香り抑えめ味ありになっていた。基準とすべき条件から外れていた。


⑩上記(実験番号⑨)と同様の実験について、転移後の基準となる肉を用意する。→成功。⑧と同じ肉が完成した。このことから、能力行使者の意識が、行使後の結果に関わるのではないかという疑念が湧く。


⑪ハーブソルトの量を適宜調節しながら、味重視・香り重視・味香り半々の3種類を意識して転移を実行。→成功。上記実験⑩での仮説が正しかったことを実証する。


⑫焼き過ぎて焦げた肉片の5倍サイズの生肉に転移させる。その際、焦げはなくなり丁度良い焼き加減の物が出来上がるように意識した。→失敗。焦げた肉の周囲に丁度良い焼き加減の肉が生まれた。


⑬上記(実験番号⑫)と同様の実験について、毎回同じ結果が生じるか実験を行う。→成功。このことから生肉の性質変化は可能であるが、焦げた肉の性質変化は不可能であると結論づけた。



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③肉の重さ計算

【肉の比重について】

20×25×10[cm^3]で2[kg]と仮定して、7×7×7[cm^3]で137.2[g]であると考えられる。また、1×1×1[cm^3]で0.4[g]であると考えられる。因みに肉の比重は、すき焼き用の肉を縦横同じ長さに切ってから重ねて重量を測ったので厳密に正しいかは不明です。

【鉄の比重について】

7.87[g/cm^3]であるとして、1×1×1[cm^3]で7.87[g]であると考えられる。

【重量変化について】

137.2-0.4+7.87=144.67[g]


⑤同化した際の立方体の辺の長さについて

【立方体の対角線の長さについて】

縦:a[cm]・横:b[cm]・高さ:c[cm]の直方体の対角線の長さは、√(a^2+b^2+c^2)である。ここで立方体の場合を考えると、縦:a[cm]・横:a[cm]・高さ:a[cm]であるので、求める対角線の長さは、√(a^2+a^2+a^2)=√(3・a^2)=√3・aである。この時、対角線を選択した理由はないものとする。

【立方体の一辺当たり延びた距離】

今回用いた対象物である鉄の立方体の1辺の長さは1[cm]なので、求める距離は、√3・1-1=√3-1=0.732[cm]である。今回は立方体であったが、球の場合は、直径-立方体の1辺の長さが延びる距離である。

【結果的に出来た立方体の体積】

元々の立方体の体積は、1×1×1=1[cm^3]であり、出来た立方体の体積は、√3×√3×√3=3√3=5.196[cm^3]である。つまり約5倍サイズの立方体が出来上がったのである。


くぅ〜、疲れました!w

本当はまだまだ知見を増やしたかったのですが、一気に出すのも味気ないなと考え直しました!w

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