第3話 G級

認定G級冒険者となった秀は、アパートの一室で浮かれていた。というのもG級といえばモンハンでは最高峰のハンターランクであり、古龍すら討伐可能な最強のハンターの証である。サブカルクソオタクな秀が喜ばない筈がなかった。


さらに秀はG級バッジを照明の下に晒し、眺め鑑賞する。G級バッジの色合いは地味そのもの、だがそれが良い。シンプルイズベスト。プラスチック製の安っぽさがさらにグッド。なぜだか子供の頃集めていた安っぽい食玩を想起させる点が素晴らしい。


一通りG級バッジを愛で終えた秀は、そういえばと固有技能について考え始めた。一般的に固有技能は天職と関わりが深いものが選ばれる傾向にあるため、自身の天職聖人固有技能転移の関係性についてこじつけともいえる推測を纏め始めたのだ。


まずは昔話や神話より、癒しの奇跡を起こす聖人は世界各地で同時期に多数目撃されている点から、その聖人が同一人物ならば転移能力を持っていても不思議ではない。知らんけど。


次に聖人が持つ能力はダンジョンができる以前の地球では異質であり異常であることから、地球人が聖人としての能力を持って生まれたのではなく、その能力を持った異世界やら他星の住人が地球に転移でもしてきた可能性もあるかもしれない。まあ十中八九ないだろうけど。


そして最後に左脚が癌になった聖ペレグリンの逸話についてだ。癌とは患部以外の内臓等に転移することから転移の固有技能が、そして祈りがキリストに届いて病床から回復したという逸話から回復魔法の名が付いた天職が。まあこの話は嘘だろうが。


これらが秀の考えついたこじ付けた聖人と転移の関係だ。実際合っているかは分からないが、秀は一応納得してみせた。


そして、これ以上自身を納得させる理由が思いつかないので

─そのうち秀は、考えるのをやめた。


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