第4話・やっぱり視えない彼女〔河原の土手でも視えない〕
SE・土手の広場で遊ぶ子供の声&バットでボールを打つ音
T「いい天気だね、向こう岸は桜の名所? 満開の桜が咲く頃に君と二人で歩けたら最高だろうな………………歩けたら……ううん、なんでもない、少し沈んでいる表情に見えたって?
そっか、見せたくない表情が表に出ちゃったね」
T「そろそろ将来の目標決まった? 自分が何をやりたいのか、どうしたらいいのか悩んでいるって……な、なんてコトを言うの! なんの目標も持たない自堕落で無気力な人生でも別にいいなんて……夢が持てない、自分がなんなのかわからない、先に進んでいるかもわからないって……もしかして、あたしが科学者とか発明家になって欲しいって言葉が重荷になっている?」
SE・遠くから時刻を知らせる教会のベル音
T「ねぇ、目を閉じて……いいから、閉じた? じゃあ、その場で足踏みしてみて…………もう目を開けていいよ、自分の足元を見て君、少しだけれど前に進んでいるよ『暗闇の中でもがいて、ぜんぜん前に進んでいないように思えていても、足踏みをしていれば、ちょっとだけ位置が変わって動いている』……これもパパからの受け売りだけれどね、あはっ」
SE・バットでボールを打つ音。
T「あっ! 子供が打ったボールがこっちに飛んできて……きゃ、あっ! 君、飛んできたボールを素手でキャッチして……あたしをボールの直撃から守ってくれたの? えっ、空気が入った柔らかいカラーボールだから平気……本当だ、君、反射神経いいねサッカーだったらキーパーに向いているね……あっ、ごめんまた進路に悩むようなコト言っちゃって……飛んできた、ボールから守ってくれてありがとう……今日はもう帰ろうか」
君の部屋〔大変な有事が発生しても視えない彼女〕
SE・ロケットが発射される音、そして緊急事態を伝えるアラート音(みたいな音)
T「あっ びっくりした! なに今の? スマホから鳴り響いた変な音? 緊急事態を知らせるアラート音? へえっ、初めて聞いた……どうしたの? 顔色真っ青だよ。えっ、この国が攻撃された……最近、危険な国から発射されたロケットが、国土に着弾した? それって歴史で習った例の……」
SE・モニターから聞こえ鳴り響く、パトカーや救急車や消防車のサイレン音
T「ひどい、小さな町に着弾した攻撃ロケットの二次三次の被害が拡大している……これは大惨事だね、二発目のロケットが発射されたけれど、地上からの迎撃が間に合わなくて山間に着弾? そりゃ間に合うワケないよ……宇宙からの迎撃じゃないと」
SE・発射されるロケット音、加えて砲撃音、ミサイルの発射音、爆発音
T「あ~ぁ、ついにはじまっちゃったね……今は状況を見極めて判断した方がいいよ……この状況になったらパニックになった人たちが、お店も殺到して日常品や食糧品を買い求めるから棚がスカスカになるよ……まだ、化石燃料で走っている車は、ガソリンスタンドに殺到して大混乱になる、銀行も大パニックになって通信障害も発生する……その状態が進行すると、この国でも略奪や暴動も起こるよ……数週間後には確実に……あたしが知っている歴史の繰り返しなら」
M・明るいCMソング
T「こんな時でも、いつもと変わらないCMが流れるんだ……そんなに心配しなくても大丈夫だよ、この有事は他国が武力介入してきて、二週間で落ち着くから第一次の有事はね……なに? その顔、あたしの顔に何かついている?」
T「あたしが何者かって? ふふん、さあ誰でしょう……な、なんてコトを言うのよ!」
SE・頬を平手で叩く音
T「こんな、未来に希望が持てない世界なら死んだ方がマシだなんて! 冗談でも絶対に言っちゃってダメ! 君を必要としている人は、たくさんいるんだから! 叩いてごめん……でも、これだけは覚えておいて。
あたしも、君を必要としている一人だから」
T「なんか涙が出てきちゃった……君は大切な人だから……えっ? 今夜の〝花火大会〟に誘ってくれるの? うんっ、わかった」
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