第3話・視えない彼女〔砂浜で視えない〕
SE・セミの鳴き声
T「海の砂浜は暑そうだね。
どうかな? お母さんが若い時の水着を借りて着てみたんだけれど……見えていないから意味がないって、失礼ね……
ねえ、あの海にプカプカ浮かんでいるの海洋プラスチック?
まだ、海の生物全体の重さを海洋プラスチックの重さが越えてはいないんだね……あっ、砂浜に花火のゴミや割り箸なんかが落ちている……誰も片付けないんだ、ふ~ん」
SE・波の音
T「海って……青いんだね、海水は塩味? 苦味とか酸味じゃないの。
さっき磯の臭いを嗅いだ。死んだ微生物の臭いだね……どうして、臭いがわかったのかって?
どうしてかな? あたしにも、わからない。
えへへっ、今日は臭いは伝わってくる不思議な日だね……あっ、入道雲、また大気が不安定になるのかな?」
T「泳がないの? あまり海は好きじゃないの? 子供の時に海で溺れそうになってから、海が嫌いになった?
そんなコト、一度も聞いてない……もしかして、あたしが海を見たいって言ったからムリして海に、ごめん、あたしのために」
SE・カモメの鳴き声
T「きゃあ、なんか白い虫みたいなのいた! 今の海ゴキブリ? フナムシって言うの? ふ~ん、砂浜から防波堤がある磯に来ると。海の雰囲気もガラっとま変わるね、あの塔みたいなの何? 今は使われていない
T「うわぁ、大きな反射鏡! 船があんなに小さく見える……ねぇ、君はあたしのコトが好き? まだ、はっきりとはわからないって……そっか、そうだよね。まだ日数も浅いから、あたしの心と体が視えないか……ゆっくり、自分の気持ちを確かめていけばいいよ。
あたしは、君のコト、いろいろな意味で好きだけれどね……えっ! 磯遊び? なにそれ? 磯でいろいろな生物を見つけるの……まっ、別にいいけど」
SE・磯の波の音
T「礒の海水溜まりに、取り残された生物がいろいろいるね……あっ、これ博物館のデータ3D剥製でしか見れない絶滅生物だ……ううん、なんでもない」
T「思っていたよりも面白いね〝磯遊び〟あれ? どこから子供の鳴き声が聞こえる? あっ、あそこに転んで怪我をして泣いている子供が! どうしょう、あたしの声は君にしか届かないから、誰かに助けを呼ぶコトもできないし……そうだ、君は携帯電話持っていたね。えっ! 更衣室のロッカーの中に置いてきた、どうしょう……走って助けを呼んでくるって。わかった、あたしは何もできないけれど、ケガをした子供の近くにいてあげるから……君も磯で走ってケガしないで」
SE・救急車のサイレン音
T「緊急隊員が到着して、ケガをした子供、搬送されて良かったね……あっ、君の
SE・救急車のサイレン音
T「大丈夫? 海から変えてきて数日後に足が
看護師さんたちが待機している部屋の前を通った時に『新種の小さいヒトデが、腫れていて切開したキズ口からウニュウニュ
そのうち、磯がドロドロした科学物質に覆われた時には、変異ヒトデの天国になるよ……あはっ♪」
T「君、足を切断しなくて良かったね……処置が遅れていたら、筋膜の裏側にまで変異ヒトデが侵入していたよ……しばらくは安静だね、治ったら君と河原の土手道を並んで散歩してみたいな」
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