こころとからだ
「木崎夫婦ものがたり」として書籍化した「日当たりのいい家」は精神的にかなり不安定な主人公の話だった。物語上の盛り上がりと無関係に、突然主人公の精神が落ち込んで何もできなくなってしまう、みたいな展開の話である。舞台は作中で明言していないけれど1990年代なので、主人公はうすうす自分が精神的な不調を抱えていることには気づいているが、積極的な治療はしていない。そういう感じだ。
多分「アリー・マイ・ラブ」や江國香織の「きらきらひかる」の影響だと思う。この二つは精神的な不調についてかなり赤裸々な表現をしていて、それでいて少女が楽しめるお話になっていた。1990年代の田舎で暮らす子供の実感として実社会はそこまで精神的な不調に重きを置いていなかったと思うので、この二つの書き方は私にはかなり衝撃的だった。
と言っても、私自身は身近に精神科に通う人がいたので、精神的な不調を他人事だとは思っていなかった。精神の不調は、体の不調だ。体調に気を配るように、自分の精神にも気を配っておいた方がいい。そう思って生きてきた。精神の調子を崩すと大変だからだ。そのことはずっと知っている。
そう生きてきたのがいいのか悪いのか、この年になってもよくわからない。私は自分が健康で安定的な精神を維持しているとは思えないし、かといって完全にだめになっている、という感じでもない。ただ、なるべく気を配っている、というだけだ。自己流で。
「日当たりのいい家」はキャラ文芸レーベルから書籍化されたけれど、ああいう書き方は、あんまりエンタメに向いていないんだろうな、と、思ってはいるし、私はどちらかというとエンタメ指向なので、今後ああいう書き方をしていくかというと、わからない。でも「日当たりのいい家」は気に入っているし、またああいうものが書けたらいいなとも思う。
とりとめがないけれど、精神的な部分の扱い方は結構自分の創作にとっても大きな部分のわりに書き留めたことがなかったので、今回はこういう話をしてみました。
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