1-4. 互い違いにローリング
1-4-1. 今日は日曜日(灯子Side)
テスト期間が終わって初めての日曜日、私はベッドの上で目を覚ました。
時計に目をやると、もう昼近い。平日なら完全に遅刻だけど、今日は日曜日なのでそんなことは関係無い。章悟が窓を開けてくるわけでもないし、親がこの部屋に足を踏み入れてくることもない。私が自発的に避けているのを感じ取ってくれているみたいだ。
私はある種の解放感を覚えていた。今日は外出する用事があるけど、まだベッドで寝転んでいたい気分。
しかし、それと同時に空腹も感じてしまったので、私はゆっくりと起き上がり、窓を開けて外に出て玄関経由で篠塚家に入っていった。
ダイニングに入ると、章悟が作った食事が用意されていた。
今、この場にいるのは私だけ。昨日章悟から聞いた話によると、今日は夕方まで家を空けるみたいだし、章悟の母親も別の用事で外出しているようだった。もちろん、下らないことを話すクラスメイトも、盛りのついた猫もこの場にはいない。
しかし、完全に静かな空間を確保するというのが難しいということは、これまでの経験上よく分かっている。
「1、2、3、4……ほら! 腕が開いてないよ~!」
「そんな感じ! これをあと十回!」
菅澤家の方から何度も母さんの声が聞こえてくるんだ。何をやっているかは大体想像がつく。「いつまでも若々しくいる」とかそういう目的のために体操でもしているんだ。父さんと一緒に。
あんな風に酔っ払って判断力を失っていた母さんが、今となってはどこかのジムのインストラクターみたいな話し方をしている。私はそんな光景をとても奇妙に感じてしまう。
「最近ちょっとお腹出てきているよ~! 日々の積み重ねが大事!」
その「お腹」とやらをへこませて一体どうするつもりなんだろう。やはり、そういう引き締まった体型をした相手との性行為を望んでいるのかもしれない。
このままだと四年前のグロテスクな光景が頭の中に浮かんできてしまいそうなので、私は短パンのポケットからこの前百円ショップで買ってきた耳栓を取り出し、耳に装着した。CDプレイヤーはポケットに入れられないけど、これだったら持ち運びがしやすい。
耳が
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