第2話 再来の二人
黒翼国のブロム達が巨大な蜂に向かう少し前のことである。
魔人の国では、ブロムから聞いた遺跡の話についてスピネルとアクアが話していた。
「スピネル、あの森の奥に遺跡があったなんて、驚きだな。
前回行った時は、全く気付かなかったな。」
アクアは興奮して話し出したのだ。
「全くだよ。
是非、探検に行ってみたいよね。
ブラックに頼んでみようか?」
二人はブラックの元に行き、黒翼国の探検に参加したいと話したのだ。
「二人で行くのですか?
・・・何だか心配ですね。」
ブラックはアクアとスピネルの二人がコンビになると面倒な事が起きるのではと少し躊躇したのだ。
ブロム達黒翼国の方に迷惑をかけることになるかも知れない。
少し悩んだが、条件付きで許可することにしたのだ。
「では、他にも誰か一緒に行く幹部がいるなら良いとしましょう。
ユークレイスあたりに頼みますか?」
アクアとスピネルは顔を見合わせた。
「いや、二人でみんなにかけあってみるよ。」
スピネルはそう言って、二人はそそくさとその場を離れたのだ。
二人とも頭の硬いユークレイスが来るのでは、自由に振る舞う事が出来ないと思ったのだ。
誰に頼もうかと考えていた時、前からジルコンが歩いてきたのだ。
ジルコンは黒翼国に行った事がなかったので、先日ブロムが来た時も興味津々だったのだ。
二人は顔を見合わせ、ニヤリとしたのだ。
「ジルコン、我らはこの後黒翼国に行く予定だぞ。
一緒にどうか?
ブラックもジルコンが行くなら行っても良いと言っていたぞ。」
アクアがそう言うと、ジルコンは目を輝かせて駆け寄ってきた。
「あら、あの遺跡の探検なのね。
ぜひ行ってみたいわ。
あ、でも私・・・今から街に行く用事があるのよね。」
ジルコンはどうしようかと考えているようだった。
だがここでジルコンの了解がもらえなければ、また面倒になるので、スピネルはすかさず言ったのだ。
「ジルコン大丈夫だよ。
すぐに探検に出るわけでは無いみたいだし、用事が済んでからでいいよ。
僕らは先に行ってるけどね。
黒翼国のブロム殿に話を通さねばならないし。
だから、ゆっくり来ても大丈夫だよ。」
「わかったわ。
じゃあ、さっさと用事を済ませてくるわ。」
そう言って、ジルコンは駆け出して行った。
その後スピネルとアクアはブラックの元に行き、ジルコンが一緒に行く事になったと話した。
ブラックはブロムへの親書を書き、スピネルに渡したのだ。
「くれぐれも、ブロム殿の邪魔になる事はしないようにしてくださいね。」
そう言って、ブラックは釘を刺したのだ。
勿論、二人はそんな言葉は右から左であった。
とりあえず、魔人の王の了解を得られたので、堂々と遊びに行けるのだ。
そう思うとワクワクが止まらなかったのだ。
すぐに準備をして二人は湖の岩場にある、翼国の世界に通じる穴まで急いだのだ。
アクアはドラゴンの姿に変わり、スピネルを乗せてあっという間に着く事ができた。
しかし、実は以前とは違って、簡単には中に入れなくなっていた。
ブラックが結界を張ったのだ。
こちらの魔人が勝手に向こうの世界に行かないようにしたのだ。
まだ、魔人の国ではこの穴の存在は公にはなっておらず、幹部しか知らないはずなのだが、念のためとの事だった。
そして黒翼国でも、王の許しがない限り、こちらの世界に来れないようになっていた。
翼国の人達は、魔人の世界に長時間滞在する事が出来ない身体なので、こちらも一般の者が知る事は無かった。
ただ前回の件で、魔人の国がある事は国のほとんどの者が知る事になったのだ。
そんな事もあり、二人が翼国に行くにはブラックの許しが必要だった。
岩場の穴から下に続く暗いトンネルを抜けると、そこは以前来た時と変わらない翼国の世界であった。
しかし、城がある街の方に目をやると、いくつもの黒い点のような物が浮遊しているのが見えた。
スピネルでは黒い点にしか見えなかったが、アクアの目で見るとそれは蜂の集団である事がわかったのだ。
それも自分達と同じくらいの大きさと言うのだ。
「何だか、まずい事になっていないか?
行って燃やしてくるか。」
アクアが街を見ながら得意気に話すと、スピネルが間髪入れずに答えた。
「ちょっと待って。
アクアの吹く炎では街や人も燃やしちゃうかもしれないよ。
ここは私に任せなさい。」
スピネルはそう言ってニヤリとすると、瞬時に消えたのだ。
アクアも一緒に暴れたい気持ちもあったが、ここはスピネルに任せる事にした。
以前と違い、姿だけでなく中身も大人になった事を示さねばならないと思ったのだ。
スピネルのお手並み拝見とする事にしたのだ。
そしてアクアはドラゴンの翼でのんびりと黒い集団の場所に向かったのだ。
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