第2話

(ここは殿様として、ビシッとかっこよくドヤ顔で言ってやった。ドヤァァァァ!!!)


うん?そしたらみんな怖い顔しだしたぞ。鳥屋尾さんが早速口火を切っってきた。


「まだ北伊勢も怪しいのに、いきなり尾張攻めは無謀この上なし!」


他の武将も続いてきたぞ。なにみんな怒ってるんだ?


「木曽川に長良川など川も多く侵攻は困難。まずは南の志摩を!」


おいおい誰か、誰か、俺の意見を・・・


「いやいや南近江の六角殿とともにここは伊賀、大和を!」


おいおい全然、俺の言うことを聞いてくれない……どうなってるんだ、モブに聞いてみるか、おいモブ!


「どうやら殿の魅力値があまり高くないみたいですな、プッ(笑)まあゲームも始まったばかりで信頼度も低いですし」


モブはしたり顔で言う。なんだよそのシステム!ってか今、小さく笑っただろう!


「そんな隠れパラメーターがあるなんで教えてくれなかったじゃん。なにが安心サポートだよ」


俺は思わずモブを掴んでしまった。なんだよこのゲーム。ってか元の世界の俺ってそんなに評価低いの!


「ぐぐぐっ、そんな事おっしゃっても貴方のステータスに書き換えたと言いましたよ」


俺はモブの首を締めあげる。誰だ、逆ギレって言ったの!


「それじゃ俺が能無しみたいじゃん!」


「その事言いましても、実際無能なんだし(小声)」


「めっちゃ聞こえてるぞ。ふ・ざ・け・る・な!」


「まあ織田家攻めに決めて評定強引に終わらせましょう。殿様ですし強引に決めてもなんとかなりますよ。信頼度は減りますけど、もともとないからいいでしょ」


「適当すぎるだろ。まあでもやるしかない」


俺はようやくモブから手を離した。


「兎に角そういう事なんでよろしく。後くれぐれも他言無用な」


俺は無理やり評定を終わらせた。みんなぶつくさ言いながら帰っていった。大きい部屋に俺とモブも二人きりになる。なんか寂しい……


「とりあえず軍師に誰か任命しますか。そしたら軍師に相談して決めれますし、評定でも助けてくれますし」




「それもそうだなーそもそも北畠家のこと全然分からないし。そうするか。モブなんかオススメある?」


モブが色々な配下武将の情報を教えてくれた。さあどれどれみんなの能力はと……


「うーん、みんなあんまりパッとしないような……なんか織田家みたいにならないのね」


「そんな殿は人の事言えないですよwww」


「チュートリアルのキャラなのに草を生やすな!誰だよこんなキャラ設定にしたのは。ふー、やっぱり鳥屋尾さんが一番能力高そうだな」


「では、さっそく呼んできます」


モブがスタスタと部屋を出て行く。こういうところはしっかりチュートリアルの仕事してるんだな。


モブが鳥屋尾さんを連れてきた。うーん、顔が険しいぞ、不満が溜まってるんだな。まあとにかく用件を言おう。


「うーんと、とりうお・・・いやとりやおさんっだっけ。今日から俺の軍師になって助けてほしい。この通りだ」


そう言うと鳥屋尾さんの顔がパッと明るくなった。おお、分かりやすいぞ。


「なんと拙者にそのような大任をお任せくださると・・・ありがたき幸せに御座います」


うん?なんかモブが鳥屋尾さんに近づいて、袋をあげたぞ。なんか重そうだ。


「これは、殿から鳥屋尾殿に下さる当座の銭である。殿は鳥屋尾殿に大いに期待しておられます」


おおナイスだモブ。なるほどそうやるんだな、覚えとこ、メモメモっと。鳥屋尾さんの顔がどんどん明るくなるぞ。


「拙者は果報者でござる。これからは殿の戦略の助言をしっかりしてまいります」


ふー、ようやく俺の話を聞いてくれそうだ。もう一度織田家攻めの事を言ってみよう。


「なあ鳥屋尾さん、織田家に攻めるのって難しいの?」


「そうですな……まずは北伊勢をある程度まとめないといけないでしょう。長野家はこちらにつきましたから、あとは細々とした小勢力をのまないといけません」


「それを年内までなんとかやって」


「むむむ、困難ですがそこまで殿が言うならなんとかしましょう」


かなり褒美の効果が出てるな、反論せずにやってくれそう。やっぱゲームの中でも現実社会でも銭は有効なんだな……


「あとは、尾張と伊勢の間には長良川、木曽川などがあり大軍の移動には船が必要かと思われます。これら兵站の準備がありますから、今すぐの侵攻には反対です。というか不可能です」


「来年の五月に尾張侵攻をおこなう、これは絶対」


未来を知っている俺はこれだけは譲れない。だってこの機会を逃すともう生き残るチャンスはないんだから。


「かなりの難事業ですが、殿のご命令あれば必ず達成いたします」


よしよし、あとしないといけない事は・・・


「今川家にガンガンお金ばら撒いて、それまでに同盟関係を持ちたい。あと一応美濃の斉藤家にも使者を。それと尾張に忍びを大量に」


「なるほど、織田包囲網を作るのですな。間抜けな顔をしている割にはなかなかしたたかですな・・・おっと失礼」


おいおい、なんて事を言うんだ。どうもこのゲームを作ったやつは口が悪いらしい。ときどきセリフがおかしいぞ。


「あとこれから、城内まわるから付き合って、モブもきて」


「ははー」


鳥屋尾さんは頭をふかぶかと下げた。モブが俺に近づいてくる。


「なにをされるんで?」


「うーん、とりあえず城内に能力高い人いないか探しにいく。信長の部下ってチートばかりなんでしょ。こっちも対抗したいし」


「おお、私の教え方が良かったのか、かなり慣れてきましたな。能力の高い者がいたらどんどん雇用したほうがいいですよ」


そんな事言いながら、俺達は仲間探しを始めた。なんか戦国シミュレーションゲームというよりノリがRPGみたいになってきたなと思いながら……

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