羞恥心

あっという間に決まった予定、私は家に帰って思い出した所で気づいてしまった。

「水着、着ないといけないじゃん」

一気にリアスの岸に追い詰められた。どうしよう。たぶん客観的に見ても私のスタイルは褒められるほどいいものでは無い。千紗と並べばむしろ恥ずかしい部類に入ると思っている。海の町に住みながら、インドア派の私は本当に数える程しか海に行ったことがない。

泳げないということは無いけど、千紗達に誘われでもしない限り行くこともないしそれも中学に入った頃くらいまでだ。だから授業以外で水に浸かるなんてことをしないから、人に見せられる水着なんて持ってない。

途方に暮れた。瑞希にこのことを話すのは論外として、頼れるのは千紗だけってことになるけどなんだか気が引ける。

そんなこんなで悶えていること数分、妹にうるさいと一喝され大人しくする。

「この際妹に聞いてみるっていうのは」

いやいや、なんだかそれは姉としての面目が潰れそうで嫌だ。姉の凛々しい雰囲気を保ってたい。

悩んだ挙句、かけた電話の先は

「もしもし。どうしたのこんな時間に」

「その、お願いがあるの」


後日、駅前にて。

「おまたせ〜」

純白のワンピースを着た少女がやってくる。真夏の海に彼女の格好はすごく合う。なんだか輝いて見えた。

「うん。あっ、ちょうど来た」

電車に乗って向かうは数駅先の市街地。目的地はショッピングモールだ。

「ごめんね急に。頼れるのが千紗しかいなくて」

「いいよいいよ。私もちょうど新しいの欲しかったし。今日はとことん付き合ってあげるからね!」

本当に久しぶりにやってきたショッピングモール。改めて見てそのデカさに驚く。ついつい見上げてしまって、田舎者だと思われたら嫌なのですぐに前を見る。

「やっぱすごいよね。こんなふうに大きな建物見ると。うちの周りなんてせいぜい避難タワーぐらいだもん」

初めて入った水着屋さんは、なんか凄かった。適当にしていたものが全て顕になって好きな色とかで選んでいったらいつの間にか決まっていた。

「いいじゃん、その色似合ってるよ。私はいいと思う。それでそれで、私のはどう?」

互いに色々試行錯誤していたら、あっという間に1時間も経っていた。そのまま私たちは会計を済ませて、店を出る。

「いい買い物だったね!」

「うん」

その後も服屋さんや本屋、映画を見てみたりもして二人でショッピングモールを満喫した。

「あー、楽しかった!」

「私もこんなに遊んだのは久しぶり」

「誘ってくれてありがとね」

「うん。.........良かったらまた一緒に行こう」

「もちろん!」

こうして、いつも3人で遊ぶ日に加えて時々二人で色々な所に遊びに行くようになりました。

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