書いてみたよ【第4話、第5話】

第4話

 俺のスキル獲得祝いをしてくれるらしい。

 世話になっているのだから、何か出さないと。


 芋のスープを作るらしいから、シチューのルーを買う事にした。

 いつも買っている安い商品があったから、それにした。

 値段118円だ。

 残金882円。


 パンも要るな。

 いつも利用しているスーパーで一番安いのが、食パン6枚入りで88円。

 2つ買えるから、残金1306円だ。


「シチューのルーがあるけど使ってみない」

「それって美味しいの?」


 クロエちゃんは食べた事のない料理に興味がある様子。


「それなりにはな」

「悪いわ」

「安いから。銅貨12枚ぐらいの値段かな」


 118円だからね。


「お母さん、ルーってのを食べてみたい」

「じゃ料理しますか」

「ほんとごめんなさいね」

「いいんだよ。みんなの喜ぶ顔が見たいだけさ」


 芋はスープ用に剥いてあった。

 玉ねぎに似た野菜をジェシーさんが切る。


 俺は人参に似た野菜の皮を剥き、細かく切った。


「ホワイトシチューだから牛乳が欲しいな。肉は何でも良い」

「牛乳はないけど、ヤギの乳ならあるわ。肉は鳥肉があるわ」

「まあいいか」


 油を鍋に引いて野菜を炒める。

 炒め終わったら肉を投入。

 そして水とヤギの乳を入れて煮込む。

 火が通ったらルーを投入。

 美味しそうな匂いが立ち込めた。


 クロエちゃんは味見したくてうずうずしているようだ。


「小皿に取ってあげるわ」


 ジェシーさんがお玉ですくって小皿によそった。

 クロエちゃんは小皿からシチューを飲んだ。


「あつっ、でも美味しい。こんなに美味しいのは初めて」


 ピロンとスマイル100円頂きました。


「私も食べてみようかしら」


 ジェシーさんも味見した。


「あらほんと美味しいわ。香辛料が効いているわね。これで銅貨12枚は嘘でしょ」


 ジェシーさんからも、ピロンとスマイル100円頂きました。


 シチューが出来上がる頃、旦那さんが帰って来た。

 太い腕、日に焼けた顔。

 手の皺には黒い土が染み込んでいる。

 どっから見ても農民だな。


「お邪魔するよ。ショウセイと言って、巡礼をやっている」

「ようこそ、シンタだ」

「あなた、ショウセイは女神の使徒なんですって」

「そうか。女神の使徒とは珍しい。良かったら旅の話を聞かせてくれ」


 当たり障りのない事を話そう。

 南国の海の話なんかいいな。


「今日のお昼ご飯は特別よ。ショウセイがスキル獲得したお祝い。食材の一部をショウセイが出してくれたの」

「それはいいな。是非お祝いしよう。食事は賑やかな方が良い」


「ではお言葉に甘えて」

「ショウセイには小屋に泊まってもらう事にしたから。古くなった寝台も置いてあるし」

「そうだね。泊まってもらいなさい」


 賛同するシンタさん。

 反対されないようだ。

 良かったよ。


 メニューは食パンに、芋と肉のシチュー、そしてウィンナーだ。


「創造神よ、日々の糧を感謝します」


 シンタさんが食事の御祈りをする。


「「感謝します」」


 俺も唱えとかないとな。


「感謝します。頂きます」


 四人で食パンをシチューに浸して食べる。


「美味い。ただの白パンじゃない」

「本当ね。今まで食べたパンの中で一番美味しいわ」

「雲を食べているよう」


 クロエちゃんから、ピロンと感謝の100円を頂いた。

 ジェシーさんとシンタさんを見ると泣いている。


「何か。悲しい事でも」

「結婚式で食べた白パンを思い出したんだ」

「そうね。あれは美味しかった。このパンの方が美味しいけどね」


 ジェシーさんとシンタさんは笑顔になった。

 ピロンと200円ゲットした。


 パンが2斤じゃ足りないな。

 追加で3斤出そう。

 残金942円。

 パンは余ったら夕飯にでも食べれば良い。


「さっきから物を出しているけどスキルかい?」


 シンタさんが聞いて来た。


「ええ、スキルで生み出してるよ」

「ところでそのスキルはどんな物なんだ?」


「笑顔を素に物を生み出すんだ」

「なんか怖いな。笑顔が無くなってしまうのか」

「いいや。そんな事はないはずだ」


「あなた、たぶんだけど。誰かが幸せになると、神様が褒美として、物を与えてくれるんじゃないかしら」

「なるほど。お前の言う通りだ。白パンを食べると、笑みがこぼれる。無くなった気はしない」

「そういう考えもあるかもな。誰かに聞かれたらジェシーさんの言った説明をしておくよ」


「ショウセイが来てくれて家の中が明るくなった気がする。ははっ」

「うふふっ、そうね」

「えへへ」


 おおっ、ピロンと新たに300円ゲット。

 残金1242円。


 そして海の話をして、さらにピロンと300円をゲットした。

 残金1542円。


第5話

 クロエちゃんが約束のキュラスのドライフルーツを美味そうに食う。


「みんなは食べないの」

「いいのよ。大人は食べないものなの。それにそれで最後だから」


 デザートぐらい出しても良い。

 198円で5個入りのコーンタイプのアイスを出した。


「みんなで食べましょう」

「悪いわね」

「御気になさらず、所詮銅貨20枚ですから」


「あれっ、5個あるよ」


 箱を開けたクロエちゃんがそう言った。


「1つ多いのはクロエちゃんの分だよ。子供だから」

「やった」


 皆でアイスを食べる。


「美味しい。二つ目は明日にとって置きたいな」

「アイスはね。冷たいだろ。溶けてなくなってしまうんだ」

「そうなの」


「だから遠慮しないで食べると良いよ」

「じゃ食べる」


「美味しいわね」

「美味しいな」


 ピロンと300円入った。

 アイスで102円儲けた。

 村のみんなに食べさせたら、もっと儲かるだろうな。


「遊びに行って来るね」


 クロエちゃんが元気に出て行った。

 1344円残金がある。

 ここは魔臓の強化だな。

 スキルを使う回数が増えれば、スキルの成長も早いだろう。


――――――――――――――――――――――――

名前:ショウセイ

職業:バーガー女神店員

魔力:51/77

残高:144円


筋力:F-

瞬発:F-

防御:F-

魔臓:F+

スキル:

 スマイル100円 S+ 消費0

 薪割り      F- 消費1

――――――――――――――――――――――――


 魔力は49のはずが51だ。

 2回復しているな。

 また、薪割りをしてみよう。


 スキルで薪を割ること51回。

 今日は合計でスキルを79回使った。

 それでもまだスキルは成長しない。


 魔臓の強化がもっと必要だ。

 次の魔臓のステータスを買うには2200円要る。

 くそう、段々とハードルが高くなる。

 だが、ゲームしているみたいで面白い。


 村の人にアイスを食わして、金を稼ぐか。

 俺は村をぶらぶらと歩き始めた。

 出歩いている人はいない。

 シンタさんもだが、みんな畑だろう。

 奥さんは家事の真っ最中か。


 そして、子供が集まっている所に出た。

 村の広場では5人の子供が遊んでいる。

 どこか懐かしい風景だ。


「巡礼者のショウセイよ」


 クロエちゃんが子供達に俺を紹介した。

 瞬く間に子供達に囲まれた。

 あまり外部の人が来ない村なんだろうな。

 子供達の目は興味津々だ。


「巡礼者だって?」


 そう赤毛の男の子が驚いた様子で言った。

 そうだな。

 俺も巡礼者は見た事がない。

 日本でもそう言われたら驚いただろう。


「おいら初めて見た」


 と言った子供は緑色の髪だ。

 俺はお前の髪の色を初めて見たと言いたい。


「どこから来たの?」


 金髪の女の子が問うた。

 これにはどう答えよう。


「面白いお話、聞かせて」


 灰色をしている髪の女の子がせがんだ。

 あまり話し過ぎるとボロがでそうだ。


「アルフィナ教徒なんだ」


 黒髪のどこか探るような目つきの女の子。

 やばい、疑われている。

 問題はアルフィナ教徒という言葉だ。

 信徒ではないから、うかつに答えるとボロが出る。


「ニホンという所から来たんだ」

「ニホンすげぇ!」


「アルフィナ教徒だと思うんだが、よく覚えてないんだ」

「お年寄りなの?」

「そうじゃない。頭を強く殴られると忘れてしまうんだ」

「かわいそう」


 なんだか騙している気分でいたたまれない。


「ショウセイは何の仕事をしてるんだ?」

「今はしてないな」

「ごく潰しだ」


「お兄ちゃんはごく潰しなんかじゃない」


 クロエが赤毛の男の子と取っ組み合いの喧嘩を始めた。


「俺の為に争うのは止めてくれ。ごく潰しじゃない証拠を見せるよ」


 6粒入って99円のチョコレートアイスを買った。

 バケツみたいな形の、1個が2センチぐらいの奴だ。

 6人いるからちょうど良い。


「これ何?」

「チョコレートアイスだよ。手で握ると溶けるから早くお食べ。いいか、食べたら俺に感謝するんだ」


「うわ、甘ーい!」

「すげぇ! とろける」

「こんなの食べた事がない!」

「これどうやって作ったの」

「これが都会の味」

「私、これを食べる為に頑張る」


「俺はこういうのを売っている商人だ」


 みんな笑顔で、ピロンと600円ゲットだ。

 99円が600円になった。

 今日のご飯はこれで問題なさそうだ。

 残金、645円。

 魔臓の強化にはまだ足りない。


 夕方になり、魔力が27回復してた。

 スキルで薪を割ると、ピロンと鳴った。

 ステータスを確認する。


――――――――――――――――――――――――

名前:ショウセイ

職業:バーガー女神店員

魔力:6/77

残高:645円


筋力:F-

瞬発:F-

防御:F-

魔臓:F+

スキル:

 スマイル100円 S+ 消費0

 薪割り      F  消費5

――――――――――――――――――――――――


 やった、薪割りが成長してる。

 ええと、計算すると100回目だ。

 100回で成長か。


 たぶん次はもっと掛かるんだろうな。

 課金の方が簡単だが、ある程度成長してから課金したい。


 薪割りの威力を確かめる事にした。

 切り株に斧をスキルで振り下ろす。

 斧は食い込んで止まった。

 あんまり強くなった気がしない。


 魔力を確認すると、5減ってた。

 残り魔力は1だ。

 1あれば、スキルは使えるのか。

 1ランク手加減する意識でスキルを使う。


 やっぱり斧は食い込んで止まった。

 見ると最初の方が1割ほど深く食い込んだようだ。

 一割増か。

 上出来だろうな。

 今日はこんな所にしておこう。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 第4話はテーブルの出番はないですね。


 第5話は魔臓の成長周りでテーブルの出番です。

 数値をきっちり決めておくと、話が書き易いですね。


 手作業でテーブルを作る方法も良いでしょう。

 その場合は痒い所に手が届きます。

 ですが、数値に規則性がなかったり、単純に等倍だったりすると、少し違和感が出たりします。

 テーブルを作っておけばそういう事はありません。


 使用回数での成長は無理ゲー的な数値を設定してます。

 最後のランクアップは54年ぐらい掛かります。

 無理でもないですが、話的には無理です。

 後でランクアップをさせるアイテムを登場させる予定です。


 小説はお助けアイテムやイベントやキャラを自由に入れられるので、無理な設定でもやりようです。

 わざと無理な設定のテーブルを作って、数値を小説の中で示して、実際はお助け要素でなんとかするなんてのも良いと思います。

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