書いてみたよ【第1話】

「罰ゲーム!」

「罰ゲームぅ!」

「男ならやってみろ」


 ここは某ハンバーガーショップ。

 俺達4人は会社が終わり、飲みに行った帰りだ。

 飲んでいた時に山手線ゲームをした。

 山手線ゲームは合コンなどでよくある場を盛り上げるタイプのゲームだ。


 ゲームに関してはまあいい。

 問題は罰ゲームの対象が俺になってしまったという事だ。

 くそう、恥ずかしいがやってやる。

 死ぬような罰ゲームじゃないしな。


 店員の女の子を見た途端、俺は真っ赤になっていたと思う。

 どが付くほどストライクだったからだ。

 くそう、恥ずかしい罰ゲームが更に恥ずかしくなった。

 罰ゲームは「スマイル100円下さい」と店員に言うという物だった。

 言うぞ。

 言ってやる。

 「しゅ、しゅマイル」


 俺がそう言った時、けたたましいクラクションの音と共にケツに衝撃を受けた。


ケツ下さい!」


 俺は思わず叫んでた。

 そして、俺の意識は暗転した。

 気づいたら白い空間にいる。


「ぷははっ、ふっ、くっ。もう駄目。腹筋崩壊。あははははっ」


 目の前に笑い転げる女。

 物凄い美女だと言っておこう。

 笑い転げていても美女は様になるな。

 10分ぐらい笑って、ようやく女は涙を拭いて、笑いを治めた。


「あなた、面白過ぎる。10指に入る間抜けな死にざまだったわ」

「俺、死んだのか」

「車に跳ね飛ばされてね」

「そうか死んだのか。じゃあ、あの間抜けな言葉もチャラだな」

「あの店員の女の子、しっかり聞いていたわよ。笑ったら良いのか、悲しんだら良いのか、悩んでるみたい」

「笑ってくれていいよ。そう伝えてくれ」

「ええ、伝えておく。それより、あなたを異世界で生き返らせる事にしたから。笑わせてくれたお礼よ」

「ありがたく、生き返らせてもらう」

「目を覚ましたら、ステータスオープンと言ってね」


 俺は再び暗転した。

 そして目を覚ました。

 周りは緑色のモンスターとしか呼べない物の、死骸の山。

 鎧を着て折れた剣を持っている。

 持ち物は何もない。

 髪の毛の色を見ると金色で、俺の髪の毛と違う。

 折れた剣を鏡にして顔を見るが、何となく俺の顔じゃないようだ。

 歪んでいるからはっきりとは分からないが。


「そうだ。ステータスオープン」


――――――――――――――――――――――――

名前:ショウセイ

職業:バーガー女神店員

魔力:5/5

残高:0円


筋力:F-

瞬発:F-

防御:F-

魔臓:F-

スキル:

 スマイル100円 S+ 消費0

――――――――――――――――――――――――


 パネルが表示された。

 そして俺の物でない記憶が甦った。


「フレイ、ぜひ俺のパーティに入ってくれ。そのスキル鑑定眼は、役に立ちそうだ」


 この体の持ち主はフレイというらしい。


「分かったよ、ジミアス」


 フレイはジミアスのパーティに加わったようだ。


 フレイがステータスを見る。


――――――――――――――――――――――――

名前:フレイ

職業:学者

魔力:396/2006


筋力:E

瞬発:F+

防御:E-

魔臓:C

スキル:

 鑑定眼 D- 消費120

 斬撃  E  消費50

 投石  E+ 消費80

――――――――――――――――――――――――


 フレイは学者だったのか。

 それからフレイは数限りなく冒険を繰り返したようだ。

 ある、フレイはある遺跡で鑑定の魔道具を見つけた。


 鑑定眼と鑑定の魔道具で情報がさらに詳しくなった。

 そして。


「ジミアス、Sランクおめでとう」

「ありがとう。フレイも努力すれば、なれるさ」


 そして、フレイとジミアスは、6人パーティを組んで討伐に向かった。


 そして夜、フレイとジミアスは見張りに立った。


「鑑定の魔道具を渡せ。渡さないとどうなるか」


 ジミアスがそう言ってフレイを脅した。


「嫌だ。これは僕が苦労して見つけたんだ」

「つべこべ言わずに、寄越せ」


 フレイはジミアスに無理やり鑑定の魔道具を奪われ、足を斬られ、柄で喉を突かれた。

 そして液体を掛けられる。


「これまでご苦労だったな。今日限りでパーティを抜けてくれ」

「うぐぐ」


 喉を突かれ、フレイからは小さなうめき声しか出ない。


「おい、モンスタースタンピードだ。撤退するぞ」


 ジミアスがテントに寝てるパーティメンバーに声を掛ける。


「フレイはどうしたんだ?」

「足を負傷したから、しんがりを務めるって言ったぜ」

「そうか。すまんな。生きていたら一杯奢らせてくれ」

「うぐぐ」


 ゴブリンの大群が現れた。


「急げ撤退だ」


 そう号令を掛けジミアス達が去って行く。

 酷いな。

 そうして、死んだのか。

 その死体を使って俺が甦ったという訳だな。


 他の記憶は薄れていて読めない。

 フレイの復讐は後でするとして、スマイル100円はどうやったら発動するんだ。


「スマイル100円」


 おお、スキルの説明が頭に入ってくる。

 『このスキルを所持していると、バーガー女神店員から転職出来ません』とある。

 何の冗談だ。

 異世界なら相応しい職業があるだろ。

 例えば勇者とか。

 そんなのでなくても、戦士とか、魔法使いでも良い。


 スマイル100円で出来る事は笑顔を1つ貰うと、100円が手に入るって事だ。

 その金で買い物ができるらしいが、残高0円じゃな。

 仕方ない。

 道も見えているし歩こう。

 それしか出来る事がない。


 ステータスが軒並み『F-』なのも気に掛かる。

 低いんだろうな。

 スライム並みの強さだと思っておいた方が良い。

 パネルを消して、歩き始めた。


 人家はすぐに見つかった。

 規模からいうと完全に村だな。

 全員集まっても100人は超えないだろう。

 10歳ぐらいの女の子が遊んでいる


「実は困ってる。泊まる家も、食べる物もない」


 俺はそう話し掛けた。


「おじさん誰?」


 俺はまだ24歳だぞ。

 30までは中年じゃない。

 それは譲れない。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 書いてみた感想ですが、序盤なので設定されたテーブルがどういう具合なのかまだ分かりません。

 フレイの鑑定眼ですが、最大出力で使ったとして、消費魔力が120になります。

 16回しか使えないですが、そこはあくまでも最大出力。

 1ランク落として使えば、25回ですね。

 もう1ランク落として使えば、40回。

 消費魔力の設定は今のところ上手くいっている気がします。

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