第4話 

 小鳥のこえがきこえはじめた。

 朝だ。

 

 姫さまはよわっている。

 おれは日差しがつよくなるまえに、なにか姫さまの食べものをてにいれるため、ふたりでやすんでいた岩陰をはなれた。


 木の実をいくつかもいでくることができた。皮膚や肉がえだにひっかかってはがれたりもしたが、きにしない。おれはげんきだ。

 おもったより早くもどれた。


「姫さま、朝ごはんにしましょう!」


 へんじがない。


「姫さま?」


 なんと姫さまは、ぬきみの短剣の切っ先をごじぶんのむなもとに向けている!


 いそいで短剣をうばった。

 姫さまは泣いている。


「……幸せと思っていられるうちに……死なせてよ……」


 ショックだ。

 そんなことをお思いだったとは。

 でも、きのうのはなしとつながっていた。

 おれがかんがえたくなかっただけなんだ。


「でも……いやです……そんなのは……」


 おれは、死んではじめてうそをついた。


「……いきてるうちに噛みつくほうが、おいしいんですよ……」


 うそがバレなかったかどうか、じしんはない。

 でも、姫さまはたしかにこう言ってくださった。


「なら、せいぜいその時まで……他の者に殺されないように足掻いてやるわ」




(続く)



 

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