第18話 一番の親友
わたしがリハビリをおえたころ、ぞろぞろとクラスメイトがやってくる。そして、わたしの一番の親友も、陸上部の朝練からもどってきた。
「おはよう、
「おはよう、
「TikToK観た?」
「え? なにそれ知らない!」
「リハビリの調子は?」
「うん、先週から負荷をひとつあげたんだけど、左手は、まだキツいな。右は、結構いい感じ」
「ふむ、ではお手並み拝見といきますか」
そう言うと、
「いつでもこい……」
「のこった!」
わたしは、
「わ! ずっこい」
でも、ダメだった。
「だめかー。うーん、そろそろ不意打ちのネタがなくなってきたんだよな」
「フッ。まだまだだね。ま、いい線いっていたけど。だいぶ筋力もどったんじゃない?」
わたしは、それが最高に心地よかった。
同情されても、わたしの身体はもう絶対にもとには戻らない。同情されても、足が動くようになるわけではない。でも、わたしがリハビリを努力すれば、腕の筋力はある程度の所までは戻る。
最初は、お箸をにぎるのもやっとだったのに、今では腕相撲ができるくらいまでに回復した。だから、こうやって腕相撲で真剣勝負をしてくれる
本当にありがたい。
「左手の方はどう」
「まだまだ。ハンドグリップ十回が限界。二十回できるようになったら、指相撲で戦おう」
「いいね。ハンデはどれくらいがいい? わたしは目をつぶってやる?」
「それより、カウント数を減らしてほしい。一番知りたいのは、筋力の回復だから。どれくらいついたかを、
「了解。いつでも相手になるから、リハビリがんばりな」
「うん。親指を洗ってまっていてよ!」
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