第19話 一番気になっている人
わたしが
「斑鳩、できたぞ!」
「まだ試作一号だけど」
「あ、あとお土産のマカロンありがとな! おいしかった!」
あ……。
そ、それ言わないでほしかった。わたしは、目の前の
「え、なになに、代打くん、きのう
そう来ると思った。絶対そこをふかぼりすると思った。
「昨日、俺ん家に、来てもらったんだ」
「ほほう! なになに、
お、オシャレしたとは言ってないでしょう! し、したけどさ……。
「俺と斑鳩、ドローン部だろ? だから、斑鳩がプロポ操作するところずっと見ていたんだけど、操作がやりづらそうだったから、プロポを置く台を車椅子に付けたらどうかなって思ってさ、斑鳩の車椅子を採寸させてもらったんだ」
「ふーん」
あ、
「斑鳩の車椅子のサイズに合わせてさ、取り外しができるテーブルを作ったんだ。車椅子の左に装着して、プロボをテーブルの上に置いて操作できる。これで、足にはさむよりもだんぜん安定するはずだ! 昼休みに早速試そう!」
「ふーん、つまり
「なんだかアタシ、ドローンに興味持っちゃった♪」
って、意味ありげにほほえんだ。
ドローン部は、正直言って謎の部活だ。だって学校の校庭に無断でドローンを飛ばしたお調子者の男の子と、車椅子の女の子、あと、女子の制服を着た、めちゃくちゃカワイイ男の子。部員がたった三人しかいないクラブなんだから。かなりナゾの部活だ。
そしてその謎の部活仲間のふたりが、わざわざ休日に会ってナゾの部品を作っているのだ。あやしい、かなりあやしい。わたしは顔を真っ赤にしながら、消え入りそうな声で言った。
「あ、ありがとう……その……放課後、使ってみるから」
「なんで? 昼休みでいーじゃん。アリアがコースを作っているはずだし。斑鳩もすぐに試してみたいって言っていただろう?」
「アタシも昼休みに見学していい?」
言ったのは、
「アタシ、前々からドローンって興味あったんだよね。ってか、
興味があるのは、きっと、わたしと
そんなことには全く気が付いていない
「お、磐井もドローンに興味ある?」
「うん、とーーーーーっても♪」
「じゃ、決まりだな。昼休み、さっそく実践だ」
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