第12話 三人のドローン部
翌日から、アリアちゃんは、学校に登校すると、必ず三階の空き教室にやってくるようになった。
保健室で、課題の自習プリントをやったあとは、ずっとドローンの練習をしている。とんでもない集中力だと思う。
クーラーの効いていない教室で、閉めっぱなしでドローンの練習をしてだいじょうぶなのかな? わたしがたずねると、
「……大丈夫です。三十分ごとに休憩して、その時は、窓を全開にして涼んでいます。水分もきっちり取っているから……」
って、 もじもじしながら答えた。
わたしが、「すごいね」って、言ったら、プロゲーマの人たちは、一日十時間以上練習するから、ぼくなんてまだまだだって言っていた。基準がプロの時点でとんでもないなって思う。ストイックすぎる。
そんなストイックなアリアちゃんは、日を追うごとに上達していった。三日で校長先生は勝てなくなって、一週間でわたしに勝てるようになった。今では勝敗は五分五分だ。このペースだと抜かれる日も近いのかな……って思ってしまう。
放課後、わたしはいつものようにエレベータに乗って、三階のボタンを押す。最近は、
校長先生は、ドローンの素晴らしさをわかりやすく説明してくれた。わたしのように障害があっても、
アリアちゃんが入部してから、この空き教室にきた時に、アリアちゃんがドローンを飛ばしていなかったことなんて一回もない。
「おまたせ、アリアちゃん‼︎」
「おつかれ〜」
わたしと
わたしは、右手でコントローラーを操って、ゆっくりと車椅子を椅子と机のレース場の前に停止させる。
その間も、アリアちゃんはずっと集中してドローンをあやつっている。アリアちゃんは、レース中の集中力がハンパない。
アリアちゃんは、プロポの右スティクを慎重にあやつって、ドローンの高度を上げていく。そして、机の上の椅子がくぐれる高さまで浮上すると、いったん、そのままの高度でホバリングさせる。そして、ふっと小さく息をはくと、今度は右スティクの左右を、小刻みに動かして、ドローンの位置調整をする。そして、またホバリングをさせると、今度は大きく息をはいて、左スティックを思いっきり前に倒す。
ドローンは、きれいに椅子の下の中心をくぐりぬけると、アリアちゃんは満足そうに口の広角をほんのちょっとあげながら、ドローンを自分の足元に停止させる。そして、わたしの方を見て、
「
って、消え入りそうなウイスパーボイスであいさつをしてほほをあからめる。カワイイ。本当にカワイイ。今でも男の子なのが信じられない。アリアちゃんは、前髪が邪魔にならないように、前髪をヘアピンで留めている。その髪型も、ピンクのヘアピンも本当にカワイイ。髪も毛もサラサラで、くせっ毛のわたしは本当にうらやましい。完全に女子力で負けている気がする。お手上げだ。ついでにドローンの実力も追い抜かれた。くやしい‼️
わたしに女子力がないのは……まあ……しょうがないとして、ドローン部にあとから入ったアリアちゃんに勝てないのは本当にくやしい! 勝負に負けるのは本当にくやしい!
「すごい! また上達したね」
わたしが明るいトーンの声で感想を言うと、アリアちゃんは、ニコッて、かわいくはにかんだ。赤いほほが、さらに真っ赤にそまる。カワイイ。本当にカワイイ。
わたしは、そんなアリアちゃんのカワイさにほっこりしながら、実は内心、けっこうあせっていた。これ以上、実力をはなされてなるものか。
わたしは、全く動ないふとももにプロポをはさむと、右手で左手をもって、念入りに配置場所を調整した。左手のポジションで、かなり操作感覚が違うからだ。わたしはいまだにベストなポジションをみつけられないでいた。
「お、みんなそろっているね。じゃあ、早速レースをはじめるか」
校長先生もやってきた。校長先生はなんだかんだ結構いそがしいらしい。だから、アリアちゃんが部員になってからは、ちょっと部活をさぼりがち。そして、もう勝負にならないくらいわたしたちと実力差がついちゃったから、今は審判をしている。
校長先生は、いつもどおり、
「ルールはいつも通り、三本先取のマッチセット?」
と、訪ねてきた。
「うん、いつものように勝者が決まったら、レイアウトを変更ってことで」
「了解。了解。そろそろ、アリアくんか
校長先生が、
「まだまだ、少なくとも一学期は、俺が勝ち続けるよ! 校長先生、オレはいつでもいいよ!」
「了解。他の二人も準備はいいかい?」
校長先生の問いかけに、わたしとアリアちゃんはコクンとうなずく。
「それじゃあ、用意……スタート」
フィ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん!
フィ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん!
フィ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん!
わたし、
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