第16話 試技を終えて
来週の企画の詰めを生徒達は話しあっている。
始めのうち、
当初はP子に向け話しかけたが、
一月後からP子も叡智學院の4年生となると聞くと、
「ちょっとエミリィン。打ち合わせ参加しないと、
「大胆レオタードとかの案も出てるしぃ」
「こうなったら、エミカはんのレオタードの透けおパンツ具合が気になるような。は~、っ……」
最後の声は、与太話が始まり急に主体的になったらしい
は~んとクネクネしつつあった彼だったが、途中で固まった。
仕合中もぶらぶらしていた友樹は、風来坊の気があるのだろう。
「そうそう、変なこと言うクネ男君を睨み倒しちゃってよ」
「はやく、こっちこっち」
お嬢様三人組の眼差しは、
「合流します?」と聞いた
「いや、
問うように視線を向ける
ゲルツェナは、仁王立ちのまま、
「手前の道場で、こちらの指南をしていただく予定でして」
と、右手の薙刀を持ち上げてみせる。
「ならここで仕合ったらどうかな」と
ゲルツェナは、いや、道場生が待っているもので……と、口を濁らせる。
P子との手合せの感想を聞いておこうと、チルダン師と話していた
「ゲルツェナ先生の師匠との約束が元々で」、「同門の皆も待っているはず」といった風に適当に話し、
1分ほどでその通りとなり、ゲルツェナはP子と共に道場を離れる段となる。
「それでは、
というゲルツェナ。
「先生は、この後、六本木に向かうそうでして」
とゲルツェナは答えた。
まぁ、ゲルツェナは口で語るタイプではなさそうだし、野田の陸軍基地にはP子と話せる者がいるのだろう。
ひとり校外生のオブザーバーである
皆の笑いを取りつつ、
まぁ、演芸会の出し物である。
先ほどの試技を見る限り、投げられ役の四人の受け身の練習はすんでいる。
皆、無理な力を入れずに
怪我をすることはなさそうだ。
あとは、観衆をいかに楽しませるか、でいいのだろう。
「堀先生は、スケバンDは知ってますか?」
「……いえ、私は
予想外の答えが返ってきた。
確かに
とはいえ、この15年ほどのこと。
スケバンDは
まぁ、この堀
能面のP子と体つきが似ていたので姉妹かとも思ったが、それも設定なのか。
インターナショナルスクールのスケバン四天王のABCD包囲網が作り上げた悪の組織……正義に目覚め、一人反旗をひるがえすのスケバンDといった設定を。
まぁ、大時代的なテレビドラマなのですよ、と話をまとめる。
脇から友樹がノってきた。
「先生、さすがですねぇ」
と、持参してきたらしい、スケバンDに出演していた獣属人、怪亜人、の写真を
どれも安っぽいヌイグルミのようで、萬属共栄の今では亜人差別だと叱られそう。
お嬢様達も思いは同じらしく、「それ無理だよ~」といった声が出る。
友樹は粘り強く、見た目の大切さを解く。
与し易いと思ったのか、
彼女のフォローはこれくらいで良いか。
汗を流し着替えてきたらしいチルダン師が戻ってきた。
先ほどは差し障りのない話に終始した。
チルダン師は、先の日帝韓帝共催のオリンピック剣道金メダリスト。
月日を経て還暦を迎えた今も現役の武道家として後進を指導中。
そうした、皆が知るような話を振って相槌を打っただけ。
ほぼ初対面なのだから致し方ないが、できたら聞いておくべくことは聞いておきたた。
P子と仕合って実際のところどうだったのか?
P子が猿神と知って仕合ったのか?
仕合では真剣を使っていたのか?
チルダン師の方に
……が、胸元で連絡石が震えた。
黄色。速やかに連絡せよ、だ。
✧
用を足しに行く風に道場を出る。
脳内に「
「何がですか?」と返す。
「
事情が分からないと中継員に返すと
「六本木で金星姫様とハイエルフ様がお待ちのはずだぞ」
と、ゾッとすることを言う。
それ以上の念話を打ち切り、
まずい。
何らかの連絡漏れがあったのだろう。
でも、それではすまなそうだ。金星姫にハイエルフ……
あの時は深く考えずにやってしまった。
後から、お前、エルフのプライドをあまり損ねると奴らの師団に八つ裂きにされるぞなどと、陰陽庁の先輩から脅されたものだ。
まだ八つ裂きされるほどのことはやってはいないとは思うが、誇り高き外交官で治外法権を持つエルフたちをこれ以上刺激してはならない。
道場に戻ると、友樹が手振り身振りで、
まずは
そして、速やかに六本木に向かわねば。
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