第12話 ハンディあり剣術戦 本日のルール

 次のリハーサルは、女子4名と博士ひろしとによる、剣舞。

 咲花エミカの声がけにより、お嬢様3人組も参加することになったらしい。


 その経緯を、安生やすよりは皆へのヒアリングで知った。

 

 きっかけは、演舞会での特別奨學生の出し物をどうしたものかと考えていた博士ひろしを、心春きよはる君が、咲花エミカのもとへ導いたこと。

 

 はじめ、咲花エミカは、博士ひろしの運動系課程の履修状況をチェック。

 そして、言った。

「剣術課程を履修した子たちとグループで、剣舞なんてどう?」


 咲花エミカが、美里夢ミリムうた、アクリーナのお嬢様三人組に声をかけて協力を取り付けた。

 彼女たちの剣術課程の履修中に、咲花エミカは頼まれて三人に剣術のレッスンをつけたことがあるらしい。

 

 かくして、特別奨學生枠の演舞会での演題は次の順に固まった。

 始めは、剣術の試技戦。


 千田道場の咲花エミカに、博士ひろしとお嬢様三人組の四人組で挑む。

 次いで、心春きよはるが居合の技を披露。


 ✧


 4対1でのハンディ戦となる、級友5名の剣術の試技戦。

 皆で決めたルールが書かれたガリ刷りを、安生やすよりは受け取った。

 

・ 咲花エミカに対するは、博士ひろし美里夢ミリムうた、アクリーナの四人組

・ 四人組は当たり判定付きの模擬剣を用いる(長さは85cm)

・ 四人いずれかの模擬剣が咲花エミカの身体との有効接触した時は、四人組の勝ち

・ 咲花エミカ当たり判定付きの小刀模擬剣を用いる(長さは20cm)

・ 咲花エミカの模擬剣が相手の身体との接触した時は咲花エミカの負け

・ 咲花エミカが、合気の技で相手の背中を床につけた時に相手を倒したと判定

・ 咲花エミカが合気の技を使う際には、模擬剣を手から離す

・ 四人全員を背中に床につけ倒した時は、咲花エミカの勝ち

・ 5分の制限時間を経過後、一人でも残っていた者がいた場合は四人組の勝ち

・ 咲花エミカが合気の技を使う時には、相手に痛い思いさせてはならない

・ 咲花エミカの合気の背をついた者は、10秒間死んだふりポーズをする

 

 ルールは数多く、咲花エミカ不利のものばかり。

 

 要するに、咲花エミカが勝ちとなるのは、五分間以内に四人全員を無手の合気で優しく投げ切った場合のみ、となる。

 彼女は、剣術に加え合気道も相当の使い手なのだろう。

 

 これらルールの多くは咲花エミカの提案。

 最後の二項目は、それぞれ美里夢ミリムうたとで付け加えたのだという。

 

 なるほど、お嬢様達には、なかなかに遊び心があるようだ。

 

 4月から、彼女達は神宮姫の冰翠ひすい様の同級生となる。

 内偵の任では、とかく冰翠ひすい様の身の安全確保の件ばかり話題となりがち。


 が、彼女はまだ15歳の女子。

 彼女が同級生達と良い関係を築けるように、配慮をすべきではないか。

 そうした任は、女學校の先生といった風の沙耶華さやかが得意なのだろう。

 しかし、彼女には、魔薬対策部署の係長としての任に忙しい。

 やはり下っ端の安生やすよりが取り組むべきところだろう。


 ✧

 

 さて、ハンディ戦の方はどんなものとなるのか?

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