第15話 俺って意外とモテていたのか? 修羅場が始まるぞ! ACT4
「うふふふふふふふふふふうふふふふふふふふふふふふふふふっふふふふふふふふふふふふ」
ああああ! 先輩と二人っきりでの外向勤務。
それに今日はいいお天気。この街の中を二人でこうして歩いていると、なんだかデートでもしているような気分。うんうん。デートと言う雰囲気を私が勝手に持っていたっていいじゃない。
こんな些細な幸せを感じながら仕事してたっていいんじゃない。
いいわよね。(心の中ではマジなまって。「いいんだべ!』て言っている)
先輩のあの目にする背中。大きいよね。意外と先輩って肩幅あるんだね。
「ジュる」おっといけない。よだれが。うへへへっ。なんか幸せ。
「おい、七瀬。大丈夫か?」
「何がですか?」
「いやなんだ、……なんでもねぇけど」
ていうか、さっきからすげぇ視線ていうか何と言うか、背筋がゾクってくるような感覚が続いているんだけど。もしかして風邪でも引いちまったか。夕べは床にごろ寝だったし。さっすがに今になって体が痛くなってきた。
ああ、今晩もまた床にごろ寝かよ。さすがになぁ、何とかしなきゃいけねぇよな。
でもよぉ、秋穂の奴マジ居座る気なんだよなぁ。
これさぁ、尚ねぇさんにばれちまったらどうすんだよ! (実はもうバレバレなのである)
尚ねぇさん大家として、いい顔は絶対にしねぇだろうな。でも、本当に秋穂の奴ら困っているのは切実であるのは俺も彼奴らの事見て。て言っても一晩だけでけど。感じている。
だから無下に出ていけなんて言えねぇ……し。
それにだ。いまだにこの鼻腔の奥にかすかに感じる。現役女子高生のあの甘酸っぱいというかなんと言うか。夕べは俺のと同じシャンプーていうか、それしかねぇんだからそうなんだけど。でもなんでこうも香りが甘く感じるんんだ。
もしかしてこれが女子高生特有の香りの変化と言うものか。
そう言えばあるゲーム(むろんエロゲ―。18禁である)の中で、女の子の香りフェチな主人公が言っていたのを思い出す。
「女ってさ、風呂上がりとかシャンプーやらボディーソープの匂いがするじゃん。あれいいよなぁ……」
このセリフを言った時の主人公の顔は、完全にスケベ親父の顔だったのを覚えている。そして俺は、そんな主人公に激しく同意した。
そんな妄想をかしている俺の顔を後ろからついてきている七瀬が、ひょいと覗き込んだ。
うわぁ! 先輩顔赤くしている。もしかして私とこうして二人でいるの。意識してるのかなぁ。
うへへへへ。そうだといいなぁ。
「ねぇ、先輩どうしたんですかぁ? 顔が赤いような感じに見えるんですけど?」
「うっ!」マジ俺今、変な想像してた。今朝の電車の中の出来事はあれは致し方ないことなんだ。事故? ではないにしてもだ、あの子の体に触れていたあの時間がまたこの体に感覚的に戻りつつある感触の境地を……あああああ、もう、俺ってやっぱかなり溜まってんかなぁ。
頭ん中がもうぐちゃぐちゃだ。
こんなことでは七瀬に示しが解かねぇな。シャキッとして。気持ちをちゃんと切り替えよう。
「ねぇねぇ、先輩。あと2社でしたよね。今日回る先」
「ああ。そうだけど。まぁ残りはお前もメールで結構やり取りしているところだから、初顔合わせと言ってもすぐに受け入れてくれるんじゃないかなぁ。まぁそんなに緊張することももうねぇと思うんだけど」
「ええ、私そんなに緊張していました?」
「あははは、まぁな結構ガチガチだったぞ。名刺渡す時手震えていたじゃないか。まぁみんなうちとは長い取引のところばかりだから、大丈夫だ」
「うっ!」なんかそう言うふぅに見られていたんだ。
確かにさ、緊張はしていたけど、本当に手、震えていたの? そんなにも緊張なんかしていなかったと思うんだけどなぁ。手厳しいなぁ先輩。……でも、そんな。わたしのことをそこまでちゃんと見ていてくれていたんんだ。
嬉しい! 私を見ていてくれたいたことが嬉しい。
やっぱり、先輩は頼りになるし、それにとても優しい。
ああああ、私……。私先輩ならこの私のすべてを差し出してもいい。
うん、全てだよ。
まだ経験していないことも。先輩になら捧げられる。初めては痛いって聞くけど、その痛みだって大丈夫乗り切れる。ん? そう言うところを気にするもんだっけ?
まっいいか。何時になるんだろうなぁ。先輩とお互いの心と肌を触れ合いさせる日々が訪れるのは……。
うしししっ。ああ、先輩の汗と私の汗が絡み合う。
ふと前を見れば先輩がなんか心配そうに私の顔を見つめていた。
「な、なんですか先輩そんなに私の顔見つめて」
「あっいや、すまん。気が利かなくて。お前腹減っていたんだな」
「へっ?」
「まっとりあえずそのよだれ、拭いとけ」と私にハンカチを手渡してくれた。
よだれ? って口元に手を付けると足らりと流れ出ている液体が私の手の甲を濡らした。
うわっ! やば。ほんとよだれ垂らしている。手渡されたハンカチを何も気にせず口元に押し当て、あふれ出たよだれをふき取った。
そしてそのあとに、その青いハンカチを見つめ。
先輩のハンカチ。と心の中で叫んでいる自分がいた。
「よし! 飯にするか。今日は俺がおごってやる。七瀬お前の初の外回りデビューの日だからな」
「本当ですか!」
「ああ、任せておけ!」
「やったぁ!」
あああ。今日はなんて幸せな日なんだろう。
こんな日がずっと続いてほしいな。そのために私、
先輩に愛してもらうために……。
「ただいま」ガチャっとドアを開けようとしたが、その扉は開かなかった。
「ん?」
私お部屋間違えていないよね。確かにこの部屋だと思うんだけど。それともお母さん外に出かけているのかな?
1号棟の101号室。表札と言うか名前は出ていないけど、確かに朝私はこの部屋から出てきたのをちゃんと記憶している。
うん、間違いはない。じゃぁやっぱりお母さんでかけちゃっているんだ。直登さんもまだお仕事終わる時間じゃないんだろね。「はぁ」と一つまたため息をつき、ドアの横にすとんと腰を落とした。
バイトを終えて帰宅した時間はもうすぐに8時になろうとしている。
ああ、なんかおなかすいちゃったなぁ。
辺りは暗くなり、このアパートの通路の光だけが私を照らしている。
今日は本当に散々な一日だった。
学校が終わってからバイトに直行。でもそのバイト先ではミスの連続。
さすがに今日は店長からも注意されてしまった。
そんなにも具合悪そうに見えたのか、「なんなら早く上がってもいい」とまで言われたけど、「本当にすみません」と謝罪して、シフト時間終了までいた。
ほんと、今日はものすごく疲れたよ。
「はぁ―」何時まで続くんだろうこういう生活。
私、もつかしら? こんなもやもやした気持ち背負いながら。
そしてまた、私達3人はこの狭い部屋の中で夜を過ごすんだよね。
うううううっ。直登さんの姿を思い出したら、なんだか今度は体がものすごく熱いんだけど。
ほんと私どうしちゃったんだろう。
ねぇ誰か教えて。
この苦しいのから解放される方法を……。
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