第31話 可愛い相棒と裏活動(1)
「聞いたよ。広報部に入ってくれるんだって?」
真見は
「嬉しいよ。ありがとう!」
昨夜、早急に課外活動の希望について学校のアプリで返答したのだ。完璧な笑顔に真見は照れくさくなって視線を落とす。
「はい。私、すぐにでも活動に参加したくて……。何かお手伝いできることってありますか」
「そうだな……。そうしたら『スカラベ』の
「スカラベ?」
不思議そうな表情を浮かべる真見に佳史が
「コガネムシ型の小型ロボットだよ。主に植物や昆虫の生態調査、
佳史のタブレットからロボットの映像が浮かび上がる。手のひらサイズの
「可愛い……」
真見は目を輝かせる。自分が新技術の体験者になれるなんて思いもしなかった。
「じゃあ決定だね。これからこのスカラベについて説明を受けにセル社の本部に行こうと思ってたんだ。良かったら一緒にどう?」
「
浮気調査を行う絶好の機会に真見は食い気味に返事をする。
「元気がよくていいね。それじゃあ僕とセル社に向かおうか。そうだ、よしと瑠璃はどうする?」
「僕は行こうかなー。神野さんが心配だから」
良がさらっと凄いことを言ってのける。本人は甘いことを言ったつもりは無さそうで
(またそういうことを言うと勘違いさせるから……)
「だったら私も行きます!」
瑠璃も負けじと声を上げる。その様子を見守っていた佳史が爽やかな笑顔を浮かべた。
「じゃあ、皆で行こうか」
「神野さん、ヨシと仲いいよね」
「そんなこと、ないですよ……」
セル社の本部へ向かう
「君が船から落ちた乗客なんだね」
「……!」
真見は思わず警戒心を強めた。
(個人情報は出さないようにしていたはずだけど。もしかして
佳史は眉を下げて慌てて言葉を続ける。
「気分を悪くさせたらごめん……。ちょっとした推理だよ。ヨシがあそこまで神野さんを気に掛けるのが気になって。シー・リサーチャーの救助者の記事と合わせて考えたんだ。それに、神野さんから
佳史の観察力に真見は口を開ける。それと共に昨日、佳史が『探偵顔負けだね』と言っていたことを思い出した。
「
真見が感心していると佳史が楽しそうに笑った。
「そうだね。その性格のせいでこの島の裏の事件まで調べてる。誰に頼まれたわけじゃない。完全に自分の趣味だよ」
「そういえば、昨日もおっしゃってましたね。裏の事件も調べてるって……」
「そう。例えば神野さんが海に落ちたこととか」
真見は佳史の言葉に固まった。
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