第24話 自己紹介とテクノロジー(6)
「中等部の次の共通科目は……確か社会だったかなー」
レクリエーションルーム前の廊下で
「その次、私はスポーツ科学だから」
「僕は生物海洋学」
「その科目って何?」
「そっか。神野さんは
「へえ……。進んでる」
真見は今まで自分が通っていた学校を思い出す。
感覚の鋭い真見がどれだけその空間に苦しめられたか分からない。様々に入り混じる匂いや音、教室の眩しい明かり……。全てがストレスだった。
一番辛かったのは人の感情だった。教室に不快な感情が渦巻くと忽ち真見の心にも不快感が広がる。誰かの陰口が聞こえた時も同様。無視しようと思っても真見の心を
真見は人の感情を人一倍感じやすい性質だった。それによって自分の心を疲弊させてしまう。特に
相対した相手の感情が流れ込んでくるような感覚を真見は物心ついたころから感じ取ることができた。それによってずっと振り回されてもいた。
(誰に言っても信じてもらえない。それはそうだよね。人の内面のことなんて誰も解明できないもの。例え、新技術がどんどん開発されたとしても……)
「神野さん?どうかした?」
良が心配そうに真見の顔を覗き込む。突然距離を
「……何でもないです!それより、授業。授業行こう!」
隣をちらりと見やるとやはり瑠璃が目を細めてこちらを見ている。真見は首を横に振って
瑠璃は小さなため息を吐くと3人は
「
目の前に待ち受けていた子供がそう呟いた。見れば先ほど、真見の自己紹介で目が合った生徒の一人だ。前髪が長く、顔がよく見えない。真見は再び隣を歩く瑠璃の後ろに隠れてしまう。
「突然何?
瑠璃が腕組をして呆れた声を出す。
「もう小学部のみんな、行っちゃったよ」
良が大きな目を瞬かせている。そんな中で真見は心臓の鼓動が高鳴るのを感じた。
(どうして私のお父さんの名前、知ってるの?)
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