第13話 取り調べ(3)
「わあ……」
(かわいい。イルカの他にあんなロボットもいるんだ……)
「真見。早くしなさい」
『こちら。島民登録になります』
受付の美しい女性に真見は思わず真文の後ろに隠れた。その女性から生気が感じられなかったからだ。肌や服から放たれる色彩が眩しく感じた。
「光を反射させて空気中に結像させることでバーチャル世界を見せる技術だ。正面からしかこんな風に本物っぽくはみえない」
「映像?こんなにリアルなんだ……」
受付はボックス上に作られているため、あらゆる角度から確認することはできなかった。
『島民登録の方は正面奥の部屋へお進みください』
女性の指示通り、真見達は奥の部屋へ歩みを進めた。
島民登録はあっという間に終わった。ただ違ったのは全身スキャンを行ったことだろう。360度、あらゆる場所に取り付けられたカメラの前で数分撮影を行うのだ。その後で歩行データ、声紋、指紋、心音データを取られる。
「これらのデータが島を生きていくうえで重要になってくるんだ。島民登録しなければこの島で生きていくことはできない」
「このお陰で便利な生活ができるんだね」
真文は小さく頷いて見せる。手続きも30分とかからずに終わってしまった。
「あー!ちょっとちょっと!そこの人!」
どたどたと此方に騒がしく走ってくる人物がいる。真見は驚いて思わず真文の背中に隠れた。予期せぬ人物に
「もしかして……
紺色の帽子に
「
そう言って警察手帳を見せる。顔写真にも同じ、気の抜けた顔があった。真見は名前を見てすぐに
(この人……。相模君の言ってた駐在さんだ!)
「というか。海難事故は海上保安庁の案件なんじゃないですかねー?まあ、上からの命令だし。話だけでも聞かせてもらいますよ」
頭をポリポリを掻きながら首を傾げる。真見は正義の頼りない第一印象よりもある疑問が浮かんだ。
「どうして私達のこと、知ってるんですか?初対面のはずなのに」
真見の独り言に正義は目を丸くする。そのすぐ後で帯刀がはははと小さく笑った。
「そりゃあ、簡単な話だ。昨日到着した人たちは皆その日の内に島民登録を終えてる。遅れて登録にやって来たその人こそ神野さんだってな」
「……そっか。
真見が安堵のため息を吐く。その一方で見た目とは反対に頭の回転が速い人だと分かった。
「何だ?
「ち……違います!」
真見は頬を赤らめながら慌てて否定する。
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