第12話 取り調べ(2)
「すみません。
着替えを済ませ、そろそろ外出しようと動き始めた時だった。インターフォンに見知らぬ若い男性が2名映る。
「『シールド』ですが、昨日の船の事故についてお聞かせ願いますでしょうか?」
(シールド……!この島の民間警備会社)
「どうぞ」
立ち
「そんなに緊張することはない。事故だったんだろう?」
「……あ。うん」
真見は小さく頷くとそのまま2人のシールドの男性と向かい合っていた。
「ごめんね。昨日災難に遭ったばかりなのに押しかけて。少し話を聞くだけだから我慢してね」
「……はい」
真見は男性達の
「真見。大丈夫だから、シールドの皆さんに話しなさい」
真文が真見の背中をぽんぽんと叩く。小さな子供をあやすような仕草に真見は顔を赤くした。
「驚かせてしまったかな?大丈夫?」
「いえ……。その、お気になさらず!」
上ずった声で真見は答えた。
(どうして堂々とできないんだろう……)
真見は自己嫌悪に陥りながらもシルトの青年たちに事情を話した。真文の言った通り、イヤフォンを落としてそのまま自分も落ちてしまったのだと。話している間も真文の視線が気になった。
「じゃあ、事故だったということだね」
「……はい」
真見の証言を薄いタブレットに記録していく。やがてシールドの青年が爽やかな笑顔を見せる。
「話してくれてありがとう。引っ越してきたばかりなのに大変だったね。それではお父様も。失礼致します」
そう言って真文の方を見て一礼するとシルトは去って行った。
「ねえ……。民間警備会社も
「ああ。あれは拳銃じゃない。銃の形状をしたスタンガンさ。テーザーガンに近いかもしれない」
真見は聞き慣れない単語を確かめるように復唱する。
「テーザーガン?」
「特殊な技術が使われていてね……。高電圧が飛ぶようになってる。銃弾より殺傷能力は低いが犯人を行動不能にするには十分な威力を発揮する」
「へえ……」
真見は現実味を帯びない真文の解説を聞き流す。どこか別次元の出来事のように思えた。
「違法じゃないの?そんなもの所持して」
「違法じゃない。このスーパーアイランド内では特別な法、『スーパーアイランド法』が適用されてる」
真見は目を丸くする。娘が顔を
「そんなに驚くことじゃない。市区町村でも「条例」を出しているだろう。それと同じようなものだ。この島にだけ適用される決まりがある。そのお陰で様々な技術の実証実験が可能なんだ」
「ふーん……」
「おっと。無駄話が過ぎてしまったな。早い所本部に向かうぞ」
真見は散らかった思考のまま真文に促されるままに外に出る。日差しの眩しさに目を細めると父の背中を追って走り始めた。
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