第3話 あれ?街の様子が違う?

 ―――まあ、知ってたよ。

 

 やっぱり気がつくと普通に意識があった。


 なおかつ今度は、周りに人がいた。

 顔はフランスとかイギリスみたいな感じのヨーロッパ人っぽい人たち。

髪色とかも色とりどりだからほんと日本とは違う場所って言うのがすごい伝わってくる。

 

 でも何回自殺して覚醒してもヨーロッパっていう設定は変わらないんですね。はい。


 で、周りの様子はというと、今意識が覚醒したはずなのに気を失っていた人を気遣うわけでもなく別に周りでざわざわしたりしているわけでもなく色んな方向に騒がしく歩いていっている。


 ってことは、私はもとからここにいたことになっているのかな?

それともみんなの意識から私の存在だけが抜け落ちているのか。

可能性を言い出したらきりがないけども。


 周りの建物とかはさっきいたところと違いは殆ど無い。

 でも、こっちのほうが高い建物とかがあるしどっちかといえばこっちのほうが文明は発達してるってことかな?


 一回死んでからというものわからないことが多すぎる。

 そっと、建物のガラスへ顔を向けた。

 ガラスから反射した自分の顔はいつもの自分の顔だった。

 

 ってことは死ぬ直前くらいに転移したって考えたほうがいいのかな。

 死んだ瞬間の痛みとか別になかったし。


 で、でだよ。

 いっちばん大事なことなんだけど、2回死んで2回とも死ねてないってことは私は自殺出来ないってことになるってことでいい……のかな?

 ……だとしたらきっつ。

 

 そうなんだったら寿命とかで死ぬときとかどうなるのかとか気になるけど。

 自殺のときだけはどこかに転移するっていうことだったらいいんだけど、寿命でも死ねない場合……うん!

 そんなこと考えるのはやめとこう!

 こっわいしほんと。


 で、でも、でもさ?

 でも、もしかしたらここがファンタジーみたいな世界で魔法とかあるかもでそっから破滅の魔法がある可能性も……いや、ほんと何考えちゃってんだ私。

  

 もう思考が精神異常者のそれなんよ。

 ……今度から気をつけておこ。

 

 さて、ちょっと話逸れたけど自殺できないんだったら少なくとも衣食住は確保しとかないと。

 ってことはお金が必要……

 

 うーん、ハローワークみたいなところないかな?

 あ、でも未成年には紹介してくれないか。

 この世界の常識とか知らないから普通未成年でも紹介してくれるのかもだけど。

 

 最低限アルバイトくらいなら未成年でもできるだろうしそういうの紹介してるところとかはあるんじゃない?

 とりま誰かに聞いてみますか。


 ―――はぁ、しょうがない。


 「すいません。」

 「え?あ、はい?なんでしょう。」

   

 おぉ!

 日本語通じた!

 しかもめっちゃ流暢!

 見た目めっちゃ英国紳士なのに。

 

 「えーっと……あのーなんか仕事を紹介しているような場所ってこの近くにありませんか?」

 「うーんと、【ギルド】のことですか?ギルドならこの通りのつき当りにありますよ。」

 

 ギルド?

 そんなの地球にはなかったはずだしやっぱここは地球とは違う世界ってことになるよね。

 

 「ありがとうございます。行ってみます。」

 

 お礼を言うと英国紳士はそっとお辞儀をして私の横を通り過ぎていった。


 あーめっちゃ緊張した。

 膝ガクガクだったよほんと。


 よく我慢した!

 偉いぞ私! 

 

 感情を押し殺しながらだったからほんとギリギリだった。

 いろいろと。

 ホント久しぶりに人と話せたかもしれない。


 一年くらいずっと引きこもってたし…………

 

 ……ちょっとセンチメタルな気分になっちゃったけど、とりえずさっきの人に教えてもらった【ギルド】へ行ってみますか。

 それくらいしか今やれることもないし。









 ―――さて、言われた通りに来たけど……これ……だよね?

 

 突き当りを見てみるとめちゃくちゃ大きい建物があった。

 まじででっけぇ。

 東京ドームレベルなんじゃ?


 めちゃくちゃ人多いし。

 コミケとかより人多いんじゃねこれ。

 

 人酔いしそう……うぅ。

 

 それにしてもさっきまでスーツみたいなの着てる人がほとんどだったのにここにはいかにも戦闘職みたいな格好の人とか魔法使いみたいな人がいるし、活気があってさっきまでと温度差すごいな。


 それで……こっからどこに行けばいいのか……わっかんない。 

 

 誰かにきこうか……って思ったけどみんな陽キャムーブかましまくってて近づけねぇ!

 あーこれだから他人は。

  

 いや、自分が悪いってわかってるんだよ。

 わかってるんだけど……はぁ。

 

 で、どこに行けばいいのやら。 

 ま、とりあえず中に入りますか。

 外から見ててもそりゃ何もわかんないわな。

 

 そして私は中へひっそりと誰にもバレないように入っていった。








 中に入るとまず最初に飲食店の中に出た。

 結構広いからちょっとした祭りみたくなってて、なんていうか……すげぇ。

 

 常にこんな感じなんだったらすごいどころの話じゃないけど。


 店員さんとかすごいことなってるよ?

 リアルに猫の手も借りたいみたいな感じになってる。

 これは……ちょっと聞きづらいな。

 

 でも、見た感じどこにも仕事探す場所ないけど……

 誰にも聞けるような人いないし……あぁ、コミュ症の弊害が。

 

 まあ、自力で探すしかない……か。

 この世界じゃギルドで仕事を紹介してくれるのは常識みたいな感じになってそうだし、聞いて何かしら疑われてもたまったもんじゃない。


 っていっても、こんだけ広いとどこに仕事を探せる場所があるのか検討もつかないし、誰かしらについて行くのが安泰だと思う。

 幸いどこにいってるのかわからないけど食べ終わった人たちはある方向に流れていっていた。

 それじゃ怪しまれない程度についていきますか。

 

 そして私は人の流れに沿ってギルド内を歩いていった。

 ……私死んでから歩いてばっかだな。 

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