第21話 嘘を見抜く才能などなかった
「ようこそ我らがAnotherpartyへ!!」
「はぁ……」
アジトに潜入しようと入口を探しいるとリーダーを名乗る青年に出くわし、中へ案内された。
その場に居るのは僕とリーダーを除けば2人。1人は僕と同じくらいの少女、もう1人は20代ほどの秘書とかが似合いそうな女性だった。
「君が来てくれて嬉しいよ。もう聞いていると思うけど僕らは転生者を集めていてね……でもなかなか見つからないんだよ。メンバーは君を合わせてもまだ8人だ。」
「何故僕を含めてるんです?」
「へ?君がここに来たのって入ってくれるからだろう?」
「いえいえ、僕はクロガネをやった犯人のことを聞きに来ただけなので入るとは言ってませんよ?」
「あーあの狼のことか……カイトに説明を頼んだから聞いてるはずでしょ?そパーティへの入団を条件にその情報を提供するよう言ってあるはずなんだけど」
「ええ、聞きましたよ?ハッキリと魔王の仕業だってね」
「それなら何故ここに?」
「信用出来なかったからですが?」
「ナルホドナー」
「それではここからは私が説明します」
そう言って前に出てきたのはお姉さんの方だ。
秘書っぽい人の事ね。
「はじめまして……私の名前は
「はぁ……よろしくお願いします」
瀬戸さんにならい同じように頭を下げておいた。
相手が頭下げると自分もやってないと悪い気がするよなぁ。
「これを見てください」
そう言って机に水を出した。
……指先から!!
「魔法を見るのは初めてですか?」
「はい。生憎と魔法スキルは持ってないものですから。」
「そうですか……これは水を出すだけの下級魔法〈クリエイトウォーター〉といいます。下級魔法は簡単なのでユウキさんでも直ぐに使えると思います」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
その後、2時間ほど熱弁された。
「っと、そういえば狼を傷つけた犯人について説明するんでしたね」
「はい……」
疲れた。早く帰りたい!!
「この水をよく見てください。」
机の上にある水が瀬戸さんの意識に呼応するかのように動き出し、狼と人のようなもののオブジェ?を作りだした。
「凄い……」
「これは水を使った記憶伝達魔法〈アクアリコール〉といいます。自分の記憶する情報を水によって再現するものです。記憶と違う動きも意識すれば出来ますが、そうすると意識的に操作している魔力と、術式によって動いている魔力がぶつかって不純物を生み出し、水が濁ってしまいます」
嘘をついたらバレる仕組みって訳か。
魔法なのに術ってのが引っかかるけどまぁ原理は分かったしいいとしよう。
そこに映ったのはカイトから聞いた情報そのものだった。どうやら嘘は言ってなかったらしい。
「分かりました……では僕は帰らせていただきますね。」
「これからどうするおつもりですか?」
「魔王をシバキに行きます。謝れってね。」
「そうですか。それなら私たちパーティのパーティに入ってください。そちらの方が確実です。」
「もう一度言いましょうか?あなた方の目的は魔王を討伐することだ。でも僕は討伐する気は無い。だからパーティに入る気はありません」
「そうか……分かった。諦める気はないが今日はこれくらいにしておこう。」
やっと終わったか?みたいな顔をしたリーダーが早く帰れと言わんばかりの笑みを浮かべて言ってきた。
苦労していたのだろう。
「それじゃぁ……魔王城で会いましょう。」
と今まで一言も発していなかった少女が言った。
否定するべきなんだろうが、早く帰りたかった僕は言ってしまった。
「あぁ……次は魔王城でな」
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