第15話 グリモアは高かったです

 グリモアを持っていると言う青年はミルドというらしい。

 グリモアの内容は言ってるのに名前を言わないなんて違うやつのパターンだって?

 残念ながらそんな単純なものでは無い。

 この世界のグリモアは薄い1ページ目に効果の説明2ページ目に使用例最後のページにスキルor魔法名が書いてあるものだ。そしてそのスキルを得るためには最後のページを見る必要がある。

 そう。

 グリモアは最後のページを見るまでスキル名が分からないのだ。

 しかも2ページ目まで読んだ時点でグリモアの効果が発揮されて読者にスキルが付与され、ただの白紙の本に変わってしまう。

 なんて不便な……。

 そんなことを考えながら、僕はギルドをミルドの家に向かった。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「こいつだ」

「どうも」


 渡されたのはポケットサイズの手帳(と言ってもかなり薄いが)だった。

 グリモアと言うからには薄くてももう少し大きいものを想像していたのだが……。

 まぁそんなことを考えていても意味無いな。

 とりあえず金を払って帰ろう。


「んでグリモアの代金なんだが……」

「いくらになります?」

「そうだな……」


 ミルドは少し考えるような素振りを見せながら言った。


「金貨5枚でどうだ?」


 金貨5枚……5万メアか。

 この世界の貨幣は7種類ある。

 10メアが銅貨

 100メアが銀貨

 1000メアが小金貨

 10000メアが金貨

 100000メアが白金貨

 1000000メアが青金貨

 10000000メアが王金貨

 そして僕の今の所持金が金貨7枚7万メア

 うーん……厳しいなぁ


「金貨4枚まで下がらない?この後帰りの食料と街に着いてからの飯代を引いたら金貨4枚と小金貨5枚しか残らないんだ。」

「元々誰も買ってくれねぇからこれでもかなり安いんだぜ?下げられねぇよ」


 ですよねぇ〜。

 このグリモアは手に入れるべきだ。むしろ買わない方が損だろう。

 それじゃあ


「仕方ない……諦めるか」

「分かった分かった金貨4枚でいい買い取ってくれ」


 あれ?


「でもこれ以上下がらないって」

「下げなくて買い取るのを諦められるよりマシだからな」


 あぁ!なるほど。

 諦めるってのは帰りの食料の話だったんだがいい感じに勘違いしてくれているようだ。


「交渉成立だな」

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