第13話 資料を探しました
クロガネを仲間にして2分が経過した。それはとても濃厚な2分間だった。クロガネの背中に乗り、走る感覚は最高だった。けれどお世辞にも乗り心地が良かったとは言えない。
名前を付ける時に魔力がごっそり持っていかれて疲れていることもあるのだろうが、加速による圧で体がだるくなった。
帰りはもう少しスピードを抑えてもらおう。
そんなことを考えていると街の門が見えた。
クロガネは留守番だ。街にあんなに大きな狼を入れる訳にはいかない。僕はまだテイマーの職業を手に入れてないし、首輪も付けてないからな。
それで騒ぎが起きるくらいなら森に放置した方が人間的にはいいだろう。
街は人が多い。流石は作家の街と言われるだけあって本屋が多そうだ。そこらじゅうに本の看板が見える。
今回の目的は情報収集だからな。流石に全部を回るのは気が引けるから街の人に聞いて魔獣に関する資料の売ってる店を教えてもらおう。
◆◇◆◇◆◇◆
魔獣のことならなんでも任せろ!!
街の人に聞いて回るとこんなキャッチフレーズの本屋があると聞いたから来てみたが……。
「ボロくね?」
そこにあったのはかなり年期の入った建造物だった。
中に入ると、掃除はしっかりとされているようで綺麗だった。ボロいけど。
「いらっしゃいませ。今日はどのような本をお探しで?」
話しかけてきたのは髭の整った丸メガネの似合うおじさんだ。
「キラー・ドッグに関する資料を探してるんですが……」
「キラー・ドッグの資料ですか……どういった理由で?」
妙に詳しく聞いてくるな……まぁ隠してないからいいんだけど。
僕は事情を説明した。
「なるほど……では探しておられるのはキラー・ドッグの敵対魔獣、もしくは……キラー・ドッグの天敵ですね?」
「はい。分かりますか?」
「キラー・ドッグの天敵という訳ではありませんがキラーカウンターというスキルを持つモンスターが居ます。」
キラーカウンター?
何それ?
―――キラーカウンターって何?―――
《キラーカウンターとは、スキル〈キル〉を持つモンスターの攻撃を物理、魔力関係なく反射するスキルです》
キラー・ドッグはスキル〈キル〉を持つモンスターだから居なくなったのか?
「キラーカウンターを持つ魔獣ってどんなのが居るんですか?」
「キラーカウンターはスキル〈キル〉を受け、生き延びた者が手にするスキルですから。取得出来ない魔獣は居ないですね」
なるほどな……ってそれじゃあ解決出来ないじゃん!!
分からないことは無くなった。代わりに新しい謎が出来た。
先には進めてるけど現状あんまり変化は無いな。
キラーカウンター持ってる魔獣……探すか。
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