第7話 クエストは失敗していました

〈ガチャ〉


《魔石(小)を5個使用してガチャを使用しますか?》


「YES」


初めてのクエストを終えた僕は早速手に入れた魔石を使ってガチャを引こうとしていた。


《職業サバイバーを獲得しました》


 サバイバー・・・生存者と言ったところだろうか?

 これは流石にラノベの読みすぎか。


「〈アナウンス〉職業サバイバーについて」


《サバイバルに必要な知識やサバイバルグッズの扱いが上達するスキルです》


 うん!!わかりやすいね。

 サバイバルグッズの扱いが上手くなる・・・サバイバルナイフとか使えそうだな。

 ナイフの扱いが上手くなるなら短剣術見たいなスキルも手に入るかもしれない。


「そろそろ街に着くな……っと!!」


 街の門が近くなり、今日のご飯はどうしようかと考えているとギルドカードを落としてしまった。


「あれ?フレイム・ウルフ?なんだこれ」


 ギルドカードの討伐記録にはシャドウ・ウルフではなくフレイム・ウルフの文字があった。

 つまり、さっきの狼はシャドウ・ウルフではなかったという事だ。


「急いで森に戻らないとクエスト失敗したら罰金が……罰金がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


◆◇◆◇◆


「手間が省けたな」


 森に着くと、何故か狼に囲まれた。理由は分からないけど好都合だ。

 狼の毛の色は灰色……最初の情報の通り、シャドウ・ウルフの特徴だ。

 警戒するように距離を取っていた狼が一斉に僕の方に飛びついて来た。

 だがこれは予想通りだ。ジャンプした狼の下にスライディングをして通り抜け、直ぐに弓を構える。

 これは狼側も予想通りだったようで、今度は後ろにいた奴らが真っ直ぐ突っ込んできた。


「はや!!」


 突っ込んでくるのは予想していたがこのスピードは想定外だ。

 狼の強烈なタックルをもろに受けた僕は5m程飛ばされた。


「いった……くない!!??」


《サバイバーのスキル、護身術を獲得しました。これにより護身術・受け身をオートで使用しました》


 自動受け身スキル……道理で痛くないわけだ。

 これならいくら攻撃されても大丈夫だな!!


「なんて……なるか!!」


 痛くないと言っても怖いものは怖い。受け身スキルも熟練度はまだ低いから失敗することもあるだろうし、もし失敗したらと思うと冷や汗が止まらない。

 このままだと近接戦闘待ったナシだ。近接武器も無しで何をしろと?


「やるしかないか……」


バキッ!!


 僕は弓を折った。木製の弓は簡単に真っ二つになった……こんな強度でよく使えてたな。

 そんなことはどうでもいい。真っ二つになり丁度片手剣程の長さになった弓を左右の手でもち、二刀流の様な構えになった。

 弓スキルの時みたいに簡単にスキルを手に入れられるつもりでいたが今回はダメだったみたいだ。

 そもそも二刀流なんてスキルあるのだろうか?探せばあるのだろうが手に入らなかったことから考えると中位以上のスキルという事だろう。

 さっきの狼に続いて他の狼も突っ込んできた。数は3匹……後ろで匂いで匹が待機しているためスライディングは使えない。その場しのぎにしかならないが、片手の弓だったもので薙ぎ払う。軽い牽制にはなったようで少し後ろに下がって行った。

 その直後、体が動かなくなった。足元を見ると後ろに待機していた狼の影が僕の体に絡みついていた。


「これがシャドウ・ウルフの魔法……」


 シャドウ・バインドとでも言うべきだろうか?なるほどこれは強力だ。

 指一本も動かない。これは死んだんじゃないかな?

 積みゲーだわぁとゲームのときなら諦めていただろうが、これは現実だ。諦める訳にはいかないな。


〈護身術・アンチバインド〉


 影の拘束力が弱まった隙を突いて抜け出す。そしてそのまま影をつかみ、引っ張った。


「予想通り!!」


 拘束する時の影は魔力が通っていて、実体化している。実体化しているのなら掴めるはずだ。そう考えていたのがバッチリ当たった。

 影を掴まれた狼は体のバランスを崩して動けなくなった。これがシャドウ・ウルフの弱点なのだろう。

 そこに応戦するように他の狼も影を使ってきた。

 弱点がわかった今このチャンスを逃すほど僕はお人好しじゃない。

 すぐさま影を掴み取り、残っていた矢で頭を突き刺した。

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