第5話 新メンバーを歓ゲイ?

「えっと……もう一度聞くけど本当に俺たちのパーティーに入ってもいいんだな?」

「ああ構わない。俺をどんな役割にしても問題ない」

「でもあなたってこの街で1番の実力者よね? 本当にこんなパーティーに入ってもいいの?」

「俺はこのパーティーに入りたいんだ! どんな事情があっても構わない!」


 なんでこんな実力者が俺たちのパーティーに入りたいと言うのだろうか。


「まあ、ジークさんもこう言ってますしいいんじゃないですか?」

「そうよハルト。少し罪悪感は感じるけど、手に入る恩恵を考えれば悪くないでしょ?」

「確かにそうなんだけどさ……」


 俺がこいつのパーティー入りを快く思っていないのは罪悪感の問題じゃない。ローラのあの状態は俺以外は知っていないとはいえ、ステータス最弱の俺と、ヘンテコな魔法使いがいるパーティーってことは既にギルド内で有名になっている。そんなパーティーに好んで入ろうとするこいつがどんな変人が分からないから悩んでいるのだ。


「でもまあ、確かにそうだよな……」


 ここでパーティーメンバーに引き入れない選択を取るのも勿体ないし……


「わかった。こちらからも頼む」

「ありがとうハルト。俺を好きなように使ってくれ」


 かなり不安には思ったがまあいいだろう。


「とりあえず今日は遅いし、明日試しに2人でクエストに行こうか」

「2人でか!? 喜んで行く!」


 こいつのこの異常な反応は一体なんなんだろうか。やはり何か問題があるのだろうか。


「まあとりあえず明日な。俺は外で寝てくる」

「ローラは私の家に来なさい。私の家のベッドを使わせてあげるわ」

「ありがとうございますセレナさん!」

「なあセレナ。俺もその家に……」

「ハルトだけは入れないわ。何されるか分からないもの」


 こいつ俺の事を何だと思ってんだ! あとであいつはしばいておこう。

 とりあえず俺たちはここで解散することにした。




 ジークがいる事である程度は難しいクエストでも受注できるようになった。ただ俺はまだまだなのでオークの討伐クエストを受注した。昨日のゴブリンに比べると強モンスターだが、『 状態異常魔法スキル』を使えばどうにかなるかもしれない。俺たちはオークの生息地へと向かった。



「とりあえずジークは俺が危ないと判断したら参戦してくれ。しばらくは俺1人で戦う」

「わかった。危なかったらすぐに言ってくれ」


 俺はオークと向き合い戦闘を始める。オークは武器を持っていないため近接戦にはもってこいの相手だった。

 オークが俺に突っ込んでくる、俺はそれを横に避けてオークの背中に触れる。そこで俺は魔法を発動させた。発動したのは麻痺。痺れて動けないうちに剣でトドメをさした。


「結構このスキル強いな。これなら意外と行けるぞ」


 すると2体のオークが現れた。さっきのオークの仲間だろうか。考える暇もなく2体同時に突っ込んでくる。


「これ避けれないかも」


 どうしようも無いと判断した俺は正面から受け止め同時にスキルを発動させた。片方のオークは毒で苦しみ足止めできたがもう1人のオークは……


「くそ、運上昇が発動してしまったか! まずい!」


 攻撃をまともに食らって動けないでいた俺にオークが迫ってくる。


「ジーク! あとは頼む!」

「任せろ」


 一瞬だった。俺が声を掛けた瞬間オークは倒れていた。


「強いな……流石ギルド1の実力者だな」

「ああ、それにしても1人でよくやったな。低レベルとは思えなかったぞ」

「まあ今体くっそ痛いんだけどな」


 弾けるような痛みが俺を襲う。やはり低ステータスの俺にオークの攻撃は大きく響いたようだ。


「今日はもう無理だろう。俺がおんぶするから乗れ」

「ああ頼む」


 ジークの背中によじ登ってゆっくり息をつく。固い鎧の感触が心地悪かったが文句は言えない。


「ん?なあジーク」

「なんだハルト」

「いやあのさ……ケツ揉むのやめてくんね?」

「まあいいじゃないか」


 いや普通に気持ち悪いのだが……だが痛みと疲れで反抗する気力も起きずギルドへと向かった。




 あの後ローラに回復魔法を掛けてもらおうと思ったのだがセレナが、


「私だって回復魔法使えるのよ? 見てなさいローラ、これが本当の回復魔法よ!」


 となんか意地張ってんのか知らないけど回復魔法を掛けてくれた。ローラとは違って全魔力を注いだ回復魔法だから怪我の治りも異様に早かった。

 その後適当にご飯や風呂に入って解散となった。


「結局ジークは何で俺たちのパーティーに入ったのだろうか」


 不思議に思ったが眠くて仕方がなかったのでセレナから貸してもらったブランケットに包まり寝ようとした。


「起きてるかハルト」


 後ろから声が聞こえ振り向く、そこに居たのはジークだった。


「俺もここで寝ていいか?」

「いいけど、お前は金あるだろ? 宿に止まらなくていいのか?」

「俺はお前と寝たい」


 少し意味深なセリフだが、まあ問題ないだろう。


「わかった」

「いま分かったって言ったな?」


 ん?


「お前は俺と一緒に寝てくれるんだな?」

「え、いや、え?」


 突然の事に理解が追いつかない?


「ハルト、今夜は寝かせないぞ!」

「断ります! すいませぇぇぇん!!!」


 夜の街で急遽鬼ごっこが始まった。捕まれば代償は俺の体……?

 どうにか隠れられる場所を見つけ、息を殺す。


「あいつがこのパーティーに入った理由って……もしかして俺!?」


 まさかの事実。俺は恐怖でこの日一睡もできなかった。


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