(二)-6

 左内はここで刀を手に取り外へ出た。雨は細かい霧雨になっていた。賊を目の前にしては、その雨粒はほとんど気にならなかった。

 左内の正面には畑が広がっていたが、そこには布を頭に巻いた野盗二人が顔を見合わせていた。そして賊二人は左内が現れたのを見て村の奥の方へ走っていった。


 村の入口の方では、うめき声がした。そちらを見ると左内たちが連れてきた岡っ引きの一人が腕を押さえて倒れていた。その先には他の者と同じように頭に布を巻き付けている長身の男が左内の方をジッと見ていた。そしてその右手には血糊の付いた刀が握られていた。


(続く)

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