vsサバサキ Turn‐1
ハンターはアオバを下から舐めるような視線で品定めする。
「オイオイオイ、DIVEで俺に勝つ? 『
「アンノウン?」
「知らないのか?」
「知らん。初耳だ」
「ジェネレーションギャップだな。知る必要もないことだ。安心しろアンノウン」
「癇に障るな。オレにはアオバっていう名前があるんだ!」
「いくら騒いだところでお前がアンノウンなのは変わらん」
「だったら、オレが勝ったらアオバと呼べよ」
「ハッ、ハハハハハー。何を要求するかと思えば。本当にそれでいいのか? そのカードの価値はそんなもんじゃないぜ。まあ、何を賭けたところで勝つのは俺だがな」
サバサキが腕時計型のBCDに手を翳す。生体認証をクリアし、コマンド待機中を示す青白いライトがぼんやりと発光する。アオバもそれに倣う。
二人は声を重ねて叫ぶ――――
『
ソナーのような二つの波紋が重なるとマッチングが成立する。
温室の草木や石畳をモデリングされていく。これは原状回復のためのデータを保存している。要するにDIVEの間、畑に火を点けようが、温室のガラスを割ろうが、決着が付いたとき全てが元通りになる。
予めBCDに登録されたカードが現れる。7枚のカーネルは仮初の命として体に埋め込まれ、残りは
初期手札は4枚。カードが宙に浮いたまま整列している様子はホログラム技術の賜物である。
「先行は俺が頂く。
サバサキは手札から2枚のカードを足元に伏せ、1枚を表にする。
「
カードをプレイするには記載されたコストを手札から
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《パーティ
┣━━━━━━━━━━{
■〔検索1:{
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━……
「山札の一番上を公開し、
減ったはずの手札は3枚に戻る。そして、コストが払えれば1ターンに何度カードをプレイしても構わない。
「続けて
カードタイプは大きく分けて4種類。
コマンドは使い捨ての代わり強力な能力を持つサポートカード。対してアバターはプレイヤーの化身として戦う重要なカードだ。
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━……
《スカウト・ゴブリン》
┣━━━━━━━━━━{
■
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━……
保存されていたデータから皮膚が緑色に染まった小鬼が現れる。身軽そうな皮鎧姿で逆手に短剣を握り周囲を警戒している。
「バトル、《スカウト・ゴブリン》でアンノウンを攻撃!」
飛び掛かってきた《スカウト・ゴブリン》は短剣をアオバの腕に突き刺す。
カーネルが砕け散る音と共にアオバの体を構成するポリゴンが滴る血液に代わって漏れ出した。
DIVEではセーフティが設けられており、実際よりも痛覚は鈍く設定されている。
アオバ:
プレイヤーが受けるダメージはアバターのクラッシュによって決まる。アオバは残り
「どうだ、効いたか? ターンエンド」
やることが無くなったら相手にターンを渡す。DIVEの基本はこの繰り返しとなる。
「あー! この感覚久しぶりだー」
眼を輝かせるアオバの反応にサバサキは混乱する。
「ちょっと待て。なんだその反応は?」
「ああ、オレ、強いからさ。アオホシ園の子どもたちは誰も相手してくれないんだよね」
「フン、狭い世界で粋がるなよ」
「事実、強いんだな、これが――。
後攻から
「
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《
┣━━━━━━━━━━{
■:山札の上から5枚を公開する。その中から{
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━……
「山札の上から5枚を公開し、合計
どこかの密林へと繋がるゲートが開く。中から紺色の毛を逆立てた狼が現れる。首元にはツキノワグマのような三日月模様が浮かぶ。
「来い! 《ムーン・ウルフ》!」
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《ムーン・ウルフ》
┣━━━━━━━━━━{
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━……
「アォーーーーーーン」
「なんだ、
「更に《クロカンブッシュドッグ》を2体を召喚!」
遠吠えに引き寄せられて後から樹皮のような固い毛に覆われた犬が連なる。
「オイオイオイ、3体展開はやりすぎだろ……!」
「《クロカンブッシュドッグ》は出た時の効果で次の自分のターン開始時まで、プレイヤーを攻撃できず、カーネルを持たないなら攻撃されない」
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━……
《クロカンブッシュドッグ》
┣━━━━━━━━━━{
■このアバターが出た時、発動する:次の相手ターン終了時まで、プレイヤーを攻撃できず、カーネルを持たないなら攻撃されない。
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━……
「攻撃できないのか……。焦らせるなよ。いきなりカーネル3枚も破壊されたらたまったもんじゃない」
「そして、
条件を満たしたカーネルは公開することで強力な効果を発動できる。山札から引き当てる必要が無いため、DIVEを優位に進める要になる。
「
「2枚もだと!」
「《
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《
┣━━━━━━━━━━{
■【同名ゲーム1】自分{トークン以外の同名}アバターが2体以上存在する時、発動できる:山札の上から1枚を
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┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━……
《
┣━━━━━━━━━━{
■【同名ゲーム1】自分{
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━……
「バトル! 《クロカンブッシュドッグ》はプレイヤーには攻撃できないが、アバターになら攻撃できる」
「そう来るか!」
「《スカウト・ゴブリン》を攻撃!」
2体の《クロカンブッシュドッグ》が《スカウト・ゴブリン》の逃げ場を塞ぐ。移動を繰り返し、狙いを絞らせない。目を回している隙に背中から食い千切られた。
「ガード値以上のダメージを受けた《スカウト・ゴブリン》は破壊!」
ダメージは攻撃側が一方的に与える。 防御側は攻撃を受けることしかできず、破壊されたら墓地へ送られる。
「残りの《ムーン・ウルフ》でサバサキを攻撃だ!」
《ムーン・ウルフ》の爪がサバサキの肩を深く抉る。
サバサキ:
「どうよ、これがDIVEってもんでしょ!」
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