これから、

「楽しかったー!」


電車に乗って病室に帰ってきた私たちは自販機で買った水を片手に話をしていた。

海に出かけるのもいつぶりか分からないけど、

友達と出かけるのはきっと初めてだからすごく楽しかったと

楽しげに話してくれる沙夜ちゃん。


私は海なんて何回行ったか分からないし、友達と出かける事だっていっぱいあったけど、

それでも沙夜ちゃんと同じくらい楽しかったと思えることが、すごく、すごく嬉しかった。


「でも流石にこの季節には早すぎたね、次行く時はもっと暑くなってからにしようか」

「はい!でも次は遊園地とかでも良いかも!どこが良いか迷っちゃうなぁ〜!」

前までは少し先のことを話すと顔を曇らせていた沙夜ちゃんが、

今では自分から未来のことを楽しげに話している。

その変化に、そんな風に話せる理由に、私が少しでも入っていてほしい、そう思ったんだ。


「じゃあ私はそろそろ帰るね、またね!」

「はい!…あの、今日はすっごく楽しかったです!また、一緒に行ってくれますか?」

「もっちろん!ぜーったい行こうね!」

「はいっ!」


きっと私は一番だ。沙夜ちゃんの1番のトモダチなんだ。

嬉しくて、嬉しくて、小走りで家に帰った。


沙夜ちゃんと過ごすこれからが楽しみで仕方なかった。


でも、その「これから」が来るのはずっと先になった。

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