太陽と月
斎藤先生に会った次の日からは前より急いで
沙夜ちゃんの病院に行く様になった。
クラスの子になんて言われてるか、ナナ達になんて言われているか、
知らないし、分からないけれど。
そんな事より、私を一番だと思ってくれる沙夜ちゃんと一緒にいるの方が私は大事だから。
いつもの様にドアを開けて、沙夜ちゃんに挨拶をして、いっぱい話して、いっぱい笑って!
ずっとこの生活が続けば良いのにな、なーんて思って。
いろんなことを決めた。
いつ海に行こうか、何を持って行こうか、海で何かを食べようか、何を食べようか。
いろんなことを話した。
昔好きだったアニメの話、今まで食べて美味しかったもの、もう食べたくない様なもの。
楽しい時間はいつもあっという間。毎日が楽しくて仕方がなかった。
ある日、こんな話をした。
「私ね、今まで沙夜ちゃんは太陽みたいだって思ってたけど最近違う気がしてきたの、」
「急ですね。」
「私、沙夜ちゃんはみんなが寝てる世界を優しく照らしてる月みたいだって思うんだ。」
「月ですか。」
そう呟いた後、沙夜ちゃんは少し考える様な仕草をしてこう言った。
「じゃあ穂乃果さんは月の私のことでさえも元気に照らしてくれるお日様なんですね!」
「えっ!私が太陽?そんなに大層なものじゃないと思うけど…、
でもこんな私で良ければ沙夜ちゃんをいつまでも照らし続けたい!」
「ふふ、穂乃果さんは優しいですね。やっぱりお日様みたいです。」
「沙夜ちゃんのたまに見せる優しい笑顔も月みたいだよ!」
月と太陽が、それぞれ別の世界を照らすことまで似るなんて、思わなかった。
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