始まり


帰って来てからは、自分の部屋に籠って、ベットに飛び込んで、布団に顔をうずめて

熱くなった頭を冷やしてた。


嫌われてた。


いつから?


最初から?


何をしてしまった?


何が気に食わなかった?


頭の中を駆け巡るのはゲームセンター、遊園地、プール、ショッピングモール。

全部、全部、ナナ達と行った所。

今思えば、あの時から嫌われてるのかもっていう行動はたくさんあった。

でも、私が気づかなかったからナナ達に嫌な思いをされてしまった。


全部、全部、私のせいだな。

1年間も嫌な気持ちをさせてたんだ。私なんかが後ろをついて回っちゃったから。

ごめんね、ナナ。ごめんね、みんな。


もー、今考えればさあ、ぜーんぜん私悪く無いよね!

なのにあの頃は変にウジウジしちゃってたな。ナナ達とずーっと一緒だったし、

今は離れてるけど、また一緒に遊べる時が来るって信じてたからさ。


だから、ナナ達とまた遊べる時が来たらもう沙夜ちゃんとは会わなくなると思ってたから、

沙夜ちゃんと深く関わらなかった、ううん。関わろうとしなかった。


そこで急に思い出したの、今日沙夜ちゃんの病院に行ってない。

寂しい気持ちをさせているかな。

私なんかがいなくても寂しく無いか。



でも、大好きな桜のことを話してる沙夜ちゃんの顔が、頭に浮かんできた。


長らく感じてなかった、私だけに向けられた心底楽しそうな顔。



私、沙夜ちゃんの友達になりたい。初めて本気でそう心から思った。

不快になるかもしれないけど、病院にいる沙夜ちゃんなら、

私以外に友達はできないんじゃ無いかって、私を「1番」に、

「1番の友達」にしてくれるかもって!



汚い気持ちだよね。


でもね、そう考えたらさ、沙夜ちゃんに会いたくなって。

ベットから体を起こして、また無意識に沙夜ちゃんのいる病院に足が進んでた。



学校から家に帰る時はふらふら、歩いてたと思うんだけど、


今度は、しっかりとした、足取りで、走ってた。


早く会いたい、沙夜ちゃんに会いたいって。

これが多分、依存の始まり。

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