トモダチレンタル部
だから、私、高2で入った部活がね、
「トモダチレンタル部」だったの。
何それ?…うーん。何それって言われると、説明が難しいな。
入ってるのは、放課後暇な子が多かったな。
友達は運動系の部活入ってるけど自分は運動するのが嫌って子とか、
私みたいに、友達がいないから入りたい部活もないし、
この部活で友達を増やしたいっていう子。
え?入りたい部活がなかったのか?
うん、1年の時はナナ達に合わせて部活決めてたから。
で、主な活動、っていうか仕事は、トモダチレンタルを頼んだ人に会いにいく事。
危ない仕事?全然そんな事なかったよ!
原則としてトモダチレンタル出来るのはS市、高校のある市に住む
高校生以下って決まってたから。
先生に受注待ちのリストを見せてもらって、
どこの人にレンタルされるかは自分で決める。そんな感じの部活。
高2でトモダチレンタル部に入ったのは私の他に2、3人いるぐらいだったな。
同じ部活だし、もちろん話したことはあったんだけど、
入った理由は「仲良い子が運動系入ったから自分はここで良いか。」って感じだったらしい。
やっぱり仲良い子がいるんだって思ったな。
別に自分の他に友達が居ないで欲しいって訳じゃない。
でも、私は「一番」になりたいんだ。誰の一番でも良いの。
でも元々仲良い子と私とだったら、元々仲良い子の方が大事なはず。
でも、他の子より大事に思われる様にその子に対して優しくしよう!なーんて思えないし、
ありのままの私が一番って言って欲しい、そんなお年頃だったんだろうね、今もだけど。
私のことが一番大事、一番好きって言って欲しかった。
…あははっ、暗くなっちゃったね、ごめん。
それで私が最初に受けた依頼の依頼主はね、
中3の女の子で、市内の病院に入院してた女の子だった。
最初はね、年下の女の子だったら楽しく話せるかな、
友達になれるかなって思って依頼を受けたの。
初めて沙夜ちゃんを見た時はびっくりしたなぁ。
ちょっと傷んでるけど綺麗な黒の髪で
ちょっと垂れ目でまつ毛が長くて、高い鼻に薄い唇。
まるでお人形さんみたいだった。
沙夜ちゃんは窓の外を見てて私が病室に入った事に気が付いてなかったみたいで
声をかけるとビクッって揺れて驚いたんだ。
…不思議だな、もう5年以上前のことなのにこんなに鮮明に覚えてるなんて。
それで沙夜ちゃんはニコニコしながらこう言ったの。
「急に声をかけられてびっくりしちゃいました。初めまして、中村沙夜です。」
それで私も自己紹介を返したんだ。
「驚かせちゃってごめんね。初めまして、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます