『石作皇子は相手が嘘をついているかがわかる異能力者!?!異能力者たちのKAGUYA争奪戦バトルロワイアル』

@koonaka2002

戦いの始まり

今となっては昔のことであるが、竹を取り様々な用途に使い暮らしていた翁とその妻の嫗がいた。翁の名は さぬきの造 といった。


ある日、翁が竹林にでかけると、光り輝く竹があった。不思議に思って近寄ってみると、中には三寸(約 9 cm)程の可愛らしい女の子が座っていた。二人は自分たちの子供として大切に育てることに決めた。


その後夫婦は竹の中に金を見つけるようになり生活は豊かになっていった。


翁が見つけた娘はどんどん成長し三か月ほどで妙齢になり、この世の物とは思えない美しさとなった。


そこで秋田という男がこの娘を「なよ竹のかぐや姫」と名付けた。


その美しさを聞きつけた世の男たちは、皆かぐやに求婚したがその誘いを断り続けた、そのうち意思のないものはいなくなりその次に力のないものはいなくなった。


文字通り残ったのは力つまり異能力を持った物のみだった。


・・・・・・






・・・・・・


石作皇子(いしづくりのみこ)はとても緊張していた。


何せ今日はかぐやに求婚する力□を持った公家たちが一堂に会す日だった。


場所はさぬきの造りの家であり一般的な民家と比べるとかなり豪勢なつくりをしており、集められた客間だけで、20畳はありそうな部屋で部屋には人数分の座布団以外にはフスマと長机くらいしかなく簡素な造りだった。


そこに集まったのは石作を除けば4人だった、もともとの約束通りそれぞれの従者を連れず来ているようだった。


よく見ることもなくその内の二人は壬申の乱の英雄|小賢しそうな妖狐のような顔をしやせ細った大伴御行(おおとものみゆき)と|鋼のような体つきに修羅のような顔をした阿倍御主人(あべのみうし)だった。


そしてこの世のすべてを総なめしてそうな、聡明そうな目をもったそれは、まぎれもなく帝だった。


もうひとりはその時点ではわからなかった。


だがこれだけの役者の中で他人のこと全く見ず天だけを仰いでいたその男は存在感が帝と並びとても浮世離れしていた。


それは態度に対する比喩という意味だけではない、その男はあり得ないほど白かった、雪兎と見間違えるほどに、そんな感じで回りの様子を伺っているとさぬきの造りが現れ淡々としゃべり始めた。


「単刀直入に言う、かぐやはここにいる人物の異能力はもう十分知っている。


力があるという前提で残るは信頼に足る人物かどうかを知りたいただそれだけだ。


今から簡潔にかぐやの意思を伝える。


その意思とは石作皇子には「仏の御石の鉢」、車持皇子には「蓬萊の玉の枝(根が銀、茎が金、実が真珠の木の枝)」、右大臣阿倍御主人には「火鼠の裘(かわごろも、焼いても燃えない布)」、大納言大伴御行には「龍の首の珠」、帝には「燕の産んだ子安貝」をこれを持って来てほしいというものだ。」


これはどうしたものかと思った、思った以上にかぐやの城壁は高い。


別にかぐやが我々に命令してきた事に対してではない。


さぬきの造りまたは裏にいるかぐやに、噓をつかれている。それと同時に俺は試されていると感じた。


俺の異能は単純明快で相手が噓をついているかどうかがわかる。


ただそれだけだ、ここで嘘をついていると指摘するのは簡単なことだ、大方嘘の内容は提示した品が実際には存在しないとかそんなところだろう、俺の能力を知っているというのに関してはたぶん本当だ、


出なければ俺の能力の弱点をここまで正確にはつけない。


理由は俺がここで自身の能力のことに触れずに嘘だといえば「自分を信じないのか」などと言ってかぐやにみすみす断る理由を与えるようなものであり。また逆に能力の実演などをしてここで力を示せばもうまともに俺の能力は機能しなくなる。


なぜなら俺は嘘が含まれているかどうかまではわかっても、嘘の内容や嘘の含まれる量などは分からない。要は嘘を見抜く能力というのが世に知られていては、ほぼ力を発揮できない。例えば噓をつきたいタイミングで何個も他の嘘をブラフで建てられたら、それはもうほぼ何もわかっていないのと同じになってしまう。


つまりかぐやの言う力を持つものという前提を満たさないことになる。


難儀だ。


如何にか他の参加者に気づかれずに嘘であるということを示唆しなければ、


いやちがう別にほかの参加者が嘘と気づかなければいけない理由はない。


少し考えて思いついた。意を決して俺は言った


「もちろんその提案は素晴らしいのですが、いささか持ってくる品が違うというのは少し不平等かと考えます。」


「ふむ確かにな、ならば石作様はどうしたら良いと思う、代替案を出さずして意見を否定するのはいくら婚約者候補といえど許されませぬぞ」


考えるふりをした、時間にして一分もなかったと思うが緊張のせいで1分が永遠にも感じられた。


「候補者同士で殺し合うというのはどうでしょう?ただし自身の従者を戦いに加えてはならないというルールであくまでも結婚するのは本人従者も一緒に家族になるわけではありませんからな」俺は悪戯を考える少年のような顔で言った。こうすれば兵力の差も埋められる、一石二鳥我ながら妙案だと思った。


「野蛮な、さすが田舎者は言うことが違う。」大伴がいった。


「自身に自信がなければ降りてもらっていい。このままでは後悔することになるよ。本当にな」


「俺は賛成だ、もとより私自らの手でお前らのことを殺したかった。彼女を愛するのは私だけでいい」阿部が言った。


「さすが本当の英雄は言うことが違う」おだてた。俺は全身全霊でおだてた。大伴がそれを見て睨んだ。


「構わん」帝が言った。よし彼さえ賛成すればこっちのもんだ、内心大喜びだった。


先程車持皇子(くらもちのみこ)と呼ばれていた兎のような奴は何も言わなかった。


賛成の方が多数派ということで石作様の意見を採用したいと思う。


大伴殿もそれで構わないか?


「はい」しぶしぶ頷いた。彼は最後まで乗り気ではなかったが、こちら側からしてみれば逆に彼を救ったようなものだ。


とりあえず第一の関門は抜けた、


 後の話し合いでルールはここを出て一時間後から従者を使うこと以外は何でもありの殺し合いということに決まった。そのことから、各々が異能力を持っているのは、お互い感づいているようだった。








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